一話
最初は天才かなんてわかりません。
ぼちぼち過去編でも書こうかなと思ってます
「ルゥ姉、勉強教えてぇ~」
弟の瑠唯に呼ばれる。
私の名前は九重依瑠。
高校1年である。
私たちはまあ、いろいろあって親戚の所で生活している。
とは言っても、親戚は滅多に家に帰ってこず、お金を生活出来る分だけ置いてどこかへ出掛けている。
「どこが分からないの?」
瑠唯は小学6年生でとても可愛い。運動神経抜群で入っているサッカーチームは前えの大会で優勝している。しかし少し勉強が苦手である。
「んーとねぇ、この図形の面積が分からないの。」
そういって指差したのは立方体の中に円柱状の穴が空いている図形だ。
「これは、まず立方体の面積を求めて次にその面積から円柱の面積をひけばいいの。」
「うぇー、めんどくさい。」
「ほら、頑張って。勉強できたらお菓子一つ買ってあげるから。」
「本当!?」
キラキラ光る瞳でこちらを見ながら聞いてくる。
「うん。ご飯の材料を買わなくちゃいけないし。」
料理は私が作っている。
食材も自分で買うから丁度いい。
「やったー!!!」
瑠唯は鉛筆を持ち、せっせと問題を解く。
私は高校の宿題をささっとやる。
30分くらいたったら
「ルゥ姉、終わったよ!!行こ!!!」
瑠唯が声をかけてきた。
私の宿題もキリがいいし、行こう。
「うん、行こうか。」
財布などが入ったバックを持ち瑠唯と近くのスーパーへ出掛ける。
あんなことが起こるとも知らずに。
あ、そういえばある物をわたし忘れていた。
「瑠唯。」
「んー?」
「大会の優勝おめでとう。」
そういって綺麗に飾られた手のひらサイズの紙袋をポケットの中から取り出して瑠唯の手のひらに乗せる。
「え、あ、ありがとう!!!……開けていい?」
こくりと頷く。
瑠唯は紙袋を破かないよう丁寧に止めてあったシールを剥がすと中の物を取り出す。
でてきたのは銀色に輝くサッカーボールとトロフィーのついたキーホルダーだ。
「わあ、ありがとう。」
ニコニコわらってお礼を言う姿が可愛い。
瑠唯は大事そうにキーホルダーを紙袋の中に入れた。
瑠唯はご機嫌でスキップしながら進む。
「しっかり前見て歩かないと転んじゃうよ~。」
「だいじょーぶ。」
にっと笑って前へ進む。
その時、
コツン
瑠唯は石に躓いて転びそうになった。
「うわっと。」
瑠唯は持ち前の運動神経とバランス感覚で転ばないようにする。
しかしその時、
キンッキンッコロリ。
紙袋からキーホルダーがたまたま飛び出て道路に転がる。
「あっ!」
瑠唯は反射的にキーホルダーを拾いに行く。
しかし、そこは車道の真ん中で、
信号は、赤く光っていた。
キーホルダーを拾っった瑠唯に、トラックが近づく。
瑠唯はそれを見て、体が硬直した。
「危ない!!!!!」
気がついたら私は動き出していた。
持っていた鞄を投げ出して道路に飛び出し、硬直している瑠唯の襟首をつかんで歩道の
方向に思いっきり引っ張る。
ここまではよかった。
しかし、人を思いっきり引っ張ればいろいろな力が働き自分の体が前へ出てことがある。
例え引っ張ったのが軽い小学生でも関係ない。
頑張って戻ろうとしたが上手くバランスが取れずに倒れてしまう。
そこにトラックは迫ってきて、
衝突した。
体に大きな衝撃が来て骨が軋み、折れる。
激痛が体を駆け巡った。
撥ね飛ばされて道路に転がる。
どうやら即死ではないようだが、地面に出来た血だまりを見るにもう助からないだろう。
すぐに体は動かなくなり、意識も薄れてきた。
そんな意識のなかで、泣いて何かを叫びながら駆け寄ってくる弟の姿が見えた。
怪我はないようだ。
「……よ…かっ……た………。」
そういったのを最後に私は意識を手放した。
こうして、私は死んだ。
感想待ってます。