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  ☆  第80話 代謝

 街は代謝している。

 古くなったものは壊れ崩され消されていく。そして、その穴を埋めるように次の建物が生まれていく。そこに暮らす人間だってコロコロと入れ替わっていく。

 理屈ではわかっていても実際目の当たりにすると落ち着かないものだ。


 ここには二年前まで私が住んでいた家があった。それが取り壊されて、あっという間に別の建物ができてしまった。周りにあった空き地もまとめて利用した、大型のショッピングモールだ。

 私の家だった場所は駐車場の一角としてそのほとんどをアスファルトで覆われてしまった。昔は柿の木を植えていた庭も、祖母が好きだった縁側も、お隣のえっちゃんの家までも。全てがアスファルトに埋められてわからなくなってしまった。


 そんな中、死してなおここに留まり続ける私には何の意味があるのだろうか。

 葛藤している間にも、街はゆっくりと姿を変えていく。噂によると、このショッピングモールの運営会社は高額の脱税が発覚し存続が危ぶまれているという。


 古いものは潰して壊して。新しいものを生み出して。ここが更地になったとしても、私はこの街を見守り続ける。

 街は、今日も代謝している。

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