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怪奇短編集 ―Mysterious Worlds―  作者: 牧田紗矢乃


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 ☆ ☆ 第59話 火葬場

 これは僕が火葬場で働いていた時の体験です。

 その日、遺体を焼く窯に不調があったため終業前に誰かが窯に入って点検をすることになりました。誰か、といってもその時間に勤務していたのは僕と先輩の二人きりなので、どちらかが窯に入り、どちらかが万が一に備えて近くで待機しなければなりません。

 じゃんけんの結果、僕が窯に入ることになりました。


 生きたまま火葬された人がいて、窯の中には爪の跡がびっしり残っていた。なんて怖い話を聞いたばかりだった僕は、さっさとその仕事を終わらせたくて落ち着かないまま窯の点検をしていました。

 点検の結果は異状なし。別の場所の不具合の可能性もあるので、先輩に報告しようと思った時でした。


 重たい音がして、窯の蓋が閉まったのです。


 火こそついていないものの、すぐに酸素は薄くなり息苦しくなってきます。パニックになった僕は必死に蓋を蹴破ろうとしました。

 すると、すぐに窯は開きました。先輩が笑いながら僕を窯から引きずり出します。


「冗談だよ。冗談」


 笑えない冗談でしたが、怒りより安心感の方が勝りました。

 その時、廊下の奥でこちらを睨んでいる老人がいるのに気付きました。最初に言いましたが、その時火葬場にいたのは僕と先輩だけのはずなんです。

 先輩は見間違いだと笑いましたが、僕は本当に見たんです。


 先輩は次の日から仕事に来なくなりました。行方不明になったとかって話を聞いて、なんだか怖くなったので、僕は火葬場での仕事をやめました。

 風の噂で、遺骨が一体ぶん多く出たことがあるとかないとか聞きましたけどね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 火葬炉についてなのですが、火を燃やすために、不完全燃焼にしないために酸素が必要だと思います。 にもかかわらず"僕"が窯の中に閉じ込められて酸素が薄くなるのは、緊張していたから過呼吸になったと…
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