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  ☆  第53話 マジックペン

 願いが叶うと謳った「マジックペン」が発売された。価格は一本二万円を超える。高額だがそれに見合った効果が得られると噂になり、あっという間にヒット商品になった。

 その使い方は至って簡単で、叶えたい願いを毎日十回、そのペンを使って書くだけだという。そうすると"インクの中に含まれる特殊な成分が、あなたの願いの成就を手助けしてくれる"のだそうだ。


 私の友人たちも、バイトをしたり小遣いを貯めたりしてペンを購入しては、あれこれと願いを書き連ねているようだ。

 私はといえば、興味がない、というのが本音だった。しかし、ペンを持っていないと皆の話にも入れない。仕方なく小遣いをはたいてそのペンを買った。


 けれど、それは見るからに普通のボールペン。正直言って、効きそうもない。

 だから、私のペンは筆箱の奥の方へ押し込められて日の目を見ることはなかった。




 友人たちに変化が訪れたのは、ペンが流行し始めてから一ヶ月ばかり経過した頃だった。

 一人、また一人と願いが叶ったと言い始め、二本目、三本目のペンを購入する者も現れだした。


 ――これは一体?


 私が不思議に思っていると、偶然付けていたラジオから興味深い話が流れてきた。

 流れ星の見える一瞬の間に三度も願い事を唱える。昔からあるおまじないだが、それができるほど普段から強く願っている人は、無意識のうちにそれを実現するための努力をしているものだ。というような内容だった。"流れ星理論"というらしい。

 その理論の、"流れ星"を"マジックペン"に、"三回願い事言う"ことを"十回紙に書く"に置き換えたら――。


 真相に辿り着いてしまった私は、筆箱の中に眠っていたペンをゴミ箱に捨てた。

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