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 ☆ ☆ 第36話 日記

 母が残した一冊のノート。淡いピンクの表紙のそのノートには、母らしい丁寧な字で「存在証明」と書かれていた。

 ページを一つめくると、"私はここにいる。その証として、これを書いている"というなんとも奇妙な一文から始まる。


 次のページからは私と共に過ごした日々の様子が、一日も欠かすことなく詳細に書き残されていた。母と過ごしたあの日々があまりにも懐かしく思われて、思わず笑みが浮かぶ。


 ――けれど、母はもういないのだ。


 時間が経つのも忘れて日記を読み進めるうちに、文章の中に「怖い」「死にたくない」という言葉が目立つようになってきた。

 母は、己の死を感じ取っていたのだろうか。


 そして、ついに昨日の日付に辿り着いた。


 "娘に殺される。助けて、誰か、助けて――"


 やだなぁ、母さんは。どうして私のことを悪者にするんだろう? 私は大好きな母さんと一緒に居たかっただけなのに。

 ……でも、母さんはもう逃げないもんね?


 私は母の足と柱を繋いでいた手錠を外し、痕の残ってしまった母の足首をさする。

 そうだ、今日の分の日記も書かなくちゃ。


 "今日は幸せな日。私が生まれ変わった日。これからは愛する娘と二人、楽しく過ごしていこう"


 ――あ、でも、この日記を残しといたら私が警察に捕まっちゃうな。お家と一緒に焼いちゃおうか。

 もちろん、私もママと一緒に居るからね。大丈夫。ママだけに苦しい思いなんかさせないんだから。

 ずーっと一緒に居られるよね、ママ?

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