表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/100

☆ ☆ ☆第32話 蝶

虫、大量系のお話です。苦手な方はご注意ください。

 暑さに耐え切れず、締め切っていた窓を開ける。すると、ヒラヒラと一匹の蝶が風と共に部屋へ迷い込んできた。

 見慣れない柄の蝶はしばらく部屋の中を飛びまわった後、窓辺の花瓶に挿してある花に止まった。

 蜜を吸うとヒラヒラと舞い上がり窓の外へ出て行ってしまう。

 そんな蝶の一連の動きを、声も出せずに見つめていた。


 正直なことを言えば、私は虫が好きではない。かといって、片っ端から殺虫剤をかけて殺すほどに忌み嫌っているわけでもないが。

 まあ、触ることに多少抵抗がある程度だ。


 触ることが嫌だから、居ても気にしない。

 放って置けば勝手に出て行くだろうというのが私の持論だった。

 しかし、このように美しい来客は珍しかった。後になって写真を撮らなかったことを後悔したほどだ。


 あれから数日、頻繁にあの蝶と似た蝶が私の部屋へ訪れるようになった。

 私は客人のために新しい鉢植えを買い、日に日に数を増す彼らで華やぐ部屋を写真に収めた。




 悲劇は突然訪れた。

 秋の訪れと共に蝶たちは姿を消し、代わりにとでも言うかのように鉢植えには小さくてもぞもぞと動くものが見られるようになった。


 そう。あの蝶たちは鉢植えに卵を産みつけ、去って行ったのだ。

 虫に触れない私の部屋は、あっという間に大量の毛虫の放牧場と化した。

 私の持論通りなら、いつか奴らは居なくなる。ただその日を待つしかない私は、逃げるように実家へ帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
応援よろしくお願いします。小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ