表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/100

☆ ☆ ☆第24話 台所

残酷な描写があります。苦手な方はご注意ください。

 トントントントントントントン……。

 包丁がまな板をリズムよく叩いている。


 ――お母さんが朝食の準備をしている頃かな?


 私は寒さに身を縮めながら階段を下り、台所へ向かった。


「お母さん、てつだ……」


 手伝おうか? 言いながらひょいと母の手元を覗き込んで、言葉を失う。

 まな板は赤く染まり、生臭い血の臭いがそこに漂っていた。まな板から零れ落ちたものを飼い猫がくわえていく。


 トントントントントントントン……。

 母は自分が置かれている状況が分かっていないのか、黙々とそれをきざみ続ける。

 私は吐き気を押さえ切れず、シンクに胃の中のものをぶちまけた。


「お母さん、手……!」

「あら、いけない」


 母はミンチ状になった自分の左手を見て、さして驚いた様子も見せずに声をあげた。それでも、包丁を動かす右手は止まらない。

 トントントントントントントン……。

 飛び散る肉片を浴びながら、私は悲鳴をあげて床に倒れこんだ。




 気がつくと、私はベッドの中にいた。


 ――……はぁ。悪い夢だったんだ。


 安堵に胸を撫で下ろすと、いつもの心地よいリズムが聞こえてきた。

 トントントントントントントン……。


 ――さ、早く着替えてお母さんの手伝いをしなくちゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
応援よろしくお願いします。小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ