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怪奇短編集 ―Mysterious Worlds―  作者: 牧田紗矢乃


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  ☆  第22話 忘れ物

 公園をぶらぶらと歩いていると、捨てられているCDのディスクを見つけた。それがDVDではなくCDだと思ったのは太いマジックで『CD』という文字が書かれていたからで、あるいはDVDなのかもしれない。

 公園に落ちているDVDの類というのは、ほとんどがいかがわしい内容のものと相場が決まっている。


 普段なら気にも留めずに歩き去るのだが、今回だけは違った。

 引き寄せられるようにそのディスクに手を伸ばすと、迷うことなくカバンに押し込んでいた。




 しばらく散歩をしてから家に帰り、ケータイを取り出そうと鞄に手を潜り込ませた時、プラスチック製のケースに手が当たった。その時になってやっと、昼間拾ったCDのことを思い出した。

 ディスクをプレイヤーに挿入すると、三という数字が表示された。


 たったの三トラックしか入っていないのか。


 残念に思いつつ、再生ボタンを押した。

 キュルキュル、とディスクが空回りする音が聞こえて、停止してしまった。

 おかしいな、と思いながらディスプレイを見ると数字が二に変わっている。


 読み込みに失敗したのか?


 もう一度再生ボタンを押したのだが、やはりキュルキュルと空回りするだけで何も聞こえなかった。ため息をつきながらディスプレイを見て愕然とした。

 数字が、一になっている。


 次に再生したら何かが起こるんじゃないか?


 好奇心もあったが、恐怖心には勝てなかった。




 翌日、俺はそのディスクを元あった場所にそっと戻した。

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