門番の出会い
こんにちは。私の名前は紅美鈴。紅魔館という通称「悪魔の館」で門番をしています。ここ紅魔館の主はレミリア・スカーレット様。吸血鬼で、見た目は可愛いロリ体型なんですけど怒ったらほんと怖いです。強いんですもん。その妹がフランドール・スカーレット様。こちらも吸血鬼でまた強い。チート級ですね。私が無駄にタフなせいか妹様には少し好かれてるみたいで…。い、いや別に嫌じゃないですけどね?そしてレミリアお嬢様専属メイド兼紅魔館メイド長である十六夜咲夜さん。人間なんですけど、何か時間をなんやかんや出来るみたいで…。仕事が完璧でしかも可愛くて…もう一日中眺めて過ごせますね。そして紅魔館にある大きな図書館、ヴワル図書館って言うんですけど、そこの館長(?)をしてるのがお嬢様と古くから友人でいらっしゃるパチュリー・ノーレッジ様。この方は魔女なんですが…いつも本を読んでて、ハッキリ言って引きこもりみたいな方ですけど、知識は豊富で頭はキレるんですよ。あとパチュリー様の補佐役的な立ち位置にいるのが小悪魔。名前の通り悪魔…かな?ドジなとこもあるけど、良い子でマジメですよ。
「……んー……今日も良い天気だなぁ…。こんな時にイキナリ咲夜さんが紅茶でも持ってきてくれたらもう幸せすぎて痙攣起こすかもなぁ…」
「朝っぱらから気持ち悪いこと言ってんじゃないわよ」
「咲夜さん!おはようございます!どうしたんですか?」
「おはよう。貴方の希望通り紅茶持ってきたわ。寒いだろうと思って」
「ほ、ほんとに紅茶を!?」
「そうよ」
……ビクビク…
「本気で痙攣すんな」
「ありがとうございます!!」
「今日も仕事頑張ってね」
「咲夜さんの愛があればHPが0を過ぎても逆立ち出来ます!!」
「…ちょっとよくわかんない。とりあえず寝たらグシャグシャにするから」
「……表現が怖いです」
「それじゃ、私は館の掃除をしてくるわ」
「はい。頑張って下さい!」
ひゅー…
「…そういえば前にも疑問として抱いたことあるんだけど…なんで咲夜さんって飛べるんだろ…」
さてさて咲夜さんからもらったあったかい紅茶をいただきながら寒空でも眺めますか。……ん?あれは……
「ぐすん……カエデさぁん……ぐすん…」
あらあら、迷子かな?こんなところを一人でウロついてたら妖怪に襲われかねないな……。助けてあげよう。
「どうしたの?」
「!……カエデさんがどこか行っちゃったの……」
「ふむふむ……」
「カエデさぁん……」
「……そうだ!お姉ちゃんも探すの手伝って上げよう!」
「……!…ほんと?」
「本当だよ!お姉ちゃんこう見えて鼻が効くからね!」
「……お姉ちゃんも妖怪?」
「え?…ま、まぁそうだけど……」
「カエデさんが言ってた。良き妖怪には人間と同様に強い運命の引き合いがあるって。」
「へー、かっこいいなぁ」
「お姉ちゃん良い人そうだからカエデさん喜ぶかも!」
「アハハッ。だと嬉しいな」
もしやそのカエデさんと言うのは……いや、それよりまずはそのカエデさんと言う方を探さないと。何か手掛かりは……
「カエデさん、買い物が大好きなの。さっきもカエデさんが買い物に夢中になって勝手にどこかへ行っちゃって……」
「あらま……どっちが迷子なんだか……」
「それに凄く眼が良くて、すごく離れたところのお店もハッキリと見えるらしいからよく一人でどこか行くの」
「へぇ〜」
「この前なんて村で買い物してると山の方見つめて『……三8銀……ダメねあの白狼天狗。詰めが甘いわ』とか言ってた」
(絶対にとりさんと椛ちゃんだ……)
「それにね。、この前カエデさんが……」
「!?危ない!!」
「!?」
バサバサッ
なんだこのカラスの集団は……全部で7匹……もしこれが妖怪が変化した状態のものだとしたら……知恵があるから厄介だな……
「な、何?」
「私の後ろにくっついてて!取り敢えず囲まれた状況はまずい!」
タッ!
カァー!!
「ふん!」
ドスッ!
カ……ガ……
……ドサッ
「こっち!」
たったった……
くっ、取り敢えず囲まれた状況からは抜け出したけど……何が目当てだ?襲われる理由がわからない。もしかしてほんとにただの野生で、ただ単に襲って来てるだけなの?カラスに集団性なんてあったっけな……まぁ残りは6匹…一匹ずつ慎重に倒していけば……
「うわぁ!」
どしゃぁっ
「!?」
この子のことを忘れてた!我ながら酷い脳だ!勝手に自分のスピードで走り続けてしまって……ぐっ…やるしかないか…!?
カァー
カァー
「くぅ!」
ドス!
ガァー!
「うりゃ!」
ゲシッ!
ガァー!
「うわぁぁぁ!」
「!?しまっ…」
ファサァァァ……
!!?
カ……
「下賤な獣共……私の大事な家族に何をする……」
…な、なんだこりゃ!?私達の周りの風がすごい勢いで回転し始めて……まるで私達が台風の目の中にいるみたいだ……
「カエデさん!!」
「え?」
「あら紅葉。ごめんね、急にいなくなって」
「もう!すごく困ってたんだから!」
「ごめんごめん。お詫びに今日はハンバーグだよ」
「ほんと!?」
「えぇ。その前に……」
ゴォォォォォ
ぉぉお。カラスがかまいたちでどんどん傷付いて……
「紅葉襲った罪は重いよ!風と共に散りな!」
ズバン!!
!!
4匹のカラスが一斉に真っ二つに!
「やったー!!やっぱりカエデさんは一番強いなぁ!!」
「うふふ、そうでしょう?」
栗色の羽に鋭い眼光……
「あの……」
「!あら、あなたは……紅葉をありがとうございます」
「いえいえ……私も危ないところをどうも……もしかして貴方は……」
「はい?」
「鷹……か何かの……」
「……良い線ですよ。ですが、違うんです。」
「…と、おっしゃいますと?」
「……鷹の眼を持った、グリフォンです」
「グリフォン?もしやあの羽の生えた……」
「そうです」
「鷹の眼を持った、というのは……」
「カエデさん!早く帰ろう。ハンバーグが食べたい」
「あらあら、ごめんねぇ。申し訳ないのですが、この話はまたの機会にしましょう」
「あ、こちらもつかぬことをお聞きして申し訳ありません」
「いえいえ、また今度紅葉を助けてもらったお礼と共にお話でも…」
「あ、でしたらウチの館にいらして下さい。その先にある、少し洋風な館でして……」
「あら、では今度訪ねさせて頂きますね」
「はい、いつでも」
「では」
「ではでは」
いくよ紅葉
うん!
ひゅー……
「……感じの良い人ではあるなぁ。咲夜さんとか気が合いそうだけどお嬢様はどうかなぁ…」
館にて
「……どこ行ったあんのクソバカ……」
END