雨粒のさだめ
雨粒は知っている。
結局、天粒にはなれやしないと。
雨粒は知っている。
結局、降ちる法だと。
それでも、雨粒は絶望しない。
それでも、雨粒は希望を捨てない。
雨粒は知っている。
結局、粒になどなれないことを。
雨粒は知っている。
結局、その他大勢のモノに成り果てることを。
それでも、雨粒は雄々しく。
それでも、雨粒は気高く。
雨粒は、地に墜ち
混ざり合い。溶け合い。
いずれ、個としての実体すら視えなくなる。
そこに、かつての天粒があったことなど
誰も知りはしない。
それでも、雨粒は誇りを失わず。
それでも、雨粒は踏み躙られず。
雨粒は自らの尊厳に賭けて 貶されることを拒み
天粒は自らの魂に懸けて 己の権で堕ちていく。
その孤高の覚悟。
その崇高な闘い。
今私はひざまずく。
弧空に浮かぶ七色を生み出した戦士に 平伏す。
彼のモノと共にあった一片の清廉さに向かって。