表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚する側になった転生者  作者: nekorovin2501


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/3

第1話 残り50ヶ月 「種を蒔く者」 (最終調整版)

あなたは目を覚ました瞬間、理解した。

ここは異世界。

頭の中に冷たいカウントダウンが浮かぶ。

【終末の厄災カタストロフ 発動まで 残り50ヶ月】

あなた自身も転生者だ。

前世はただの30歳サラリーマン。休日はソシャゲに課金しすぎて貯金ゼロの廃人だった。

なのに今は「世界召喚占い師」という、誰もが頼る立場にされている。

王宮の大広間。

大陸中の王族、族長、賢者が疲れた顔であなたを見ている。

「占い師様……次はどんな異世界人を?」

あなたはスキル『召喚占い』を発動させた。

星の声が、曖昧に降ってくる。

「……まずは土と緑に縁のある魂。

 世界を支える根を張る者。」

あなたは静かに告げた。

「農業の専門家です。

 現代の知識と技術を持った、農業のチート持ちを呼びます。

 食糧がなければ、どんな戦士も魔法使いも戦えません。」

そして精度を上げるためのタスクを提示した。

• 各国が自慢の土を一袋ずつ持ち寄ること

• 召喚陣の周りに50種類の種を埋めること

• 儀式前夜に、全員で「明日を信じる歌」を歌うこと

最初は嘲笑されたが、あなたは自ら奔走した。

荒野を歩き、隠された良土を探し、部族を説得し、種を集めた。

体力は削れ、前世の記憶が少しずつ薄れていく。

それでも、あなたは思っていた。

(俺だって、突然引きずり込まれたんだ。

 厄災で死ぬのは嫌だ。

 だから……誰かを巻き込むことになるけど、ごめん。)

召喚日。

光が収まり、現れたのは──

作業服に長靴、日焼けした健康的な肌の47歳男性。

彼は辺りを見回し、突然叫んだ。

「え、待て待て待て!?

 俺、今ちょうど新品種の田植え終わったところで……

 嫁さんと今夜は久々に焼き肉行く約束だったのに!?

 ここどこだよ!? マジで異世界!?」

あなたは苦笑いしながら近づき、小声で日本語で話しかけた。

「……すみません。

 俺も日本人で、最近こっちに転生してきたんです。

 あなたを召喚したのは俺です。」

高倉翔は目を丸くした。

「マジかよ……お前もか。

 で、状況は?」

あなたは深く頭を下げた。

「本当に、ごめんなさい。

 突然引きずり込んで。

 現代で幸せそうだったのに……トラクターに乗って、家族と焼き肉の約束してたのに。

 でも、この世界は50ヶ月後に巨大な厄災で滅びるんです。

 俺も死にたくない。みんな死にたくない。

 だから、あなたの力が必要だったんです。」

高倉は少し黙って、あなたを見た。

そして、ため息をついて笑った。

「……まあ、しょうがねえな。

 俺、農業やってる人間だからさ。

 土が死ぬのは、見てられないよ。

 人が飢えるのも嫌いだし。

 ……それに、焼き肉の約束はまた今度ってことにしとくよ。

 嫁さんには、ちゃんと生きて帰るって伝えてくれよな。」

あなたは顔を上げた。

「ありがとうございます……!

 で、あなたのチートって……?」

高倉はニヤリと笑った。

「チートねえ。

 俺の前世との合成スキルは『植物成長促進』と『土壌瞬間解析』だそうだ。

 種植えたら1ヶ月で収穫できるし、

 この土が何を欲してるか一目でわかる。

 ……現代の科学と経験全部乗っけてるから、

 ここじゃ完全にチートだろ?」

あなたは思わずガッツポーズした。

「最高です!

 じゃあ早速、土壌改良から──」

「待て待て、まずは休憩だ。

 異世界に来てすぐ働くとかブラックすぎるだろ。

 ……せめてコーヒーくらい出してくれよ。

 インスタントでいいから。」

あなたは笑った。

「わかりました。

 俺、記憶にある範囲で再現します。

 ……高倉さん、よろしくお願いします。」

「翔でいいよ。

 お前も、名前で呼んでくれ。」

広間では王族たちがポカンとしているが、

二人の現代日本語の会話が、静かに響いていた。

残り49ヶ月。

世界は、確実に動き始めた。

(第1話 終わり)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ