表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/23

臨月



個は醜く、軟弱だった。


淘汰される宿命に、抗えるはずもなく。


白刃映り、命は朱に染まる。


暗転した世界、凍える肉塊。


冥府の死神がすぐ傍に。


「が……」


されど個は死を拒む。


生にしがみつき、強靭な意思は肉塊を変異させた。


しかしそれは化生、成れの果ての末路。


世辞でも美麗とは言い難い魔の権化。


自我すら消失したそれは、果たして生と呼べるのか。


変わらぬ宿命を辿る。


朱に染まるが痛みなし。


感覚すら置いてきてしまった。


次はないと、世界の理が矛盾を赦さない。


混濁する意識、月が陰る。


哀れな魂は、常闇の中に眠る……………………




「げ…………あぁ……」




声。


存在し得ない声がそこにはある。


ある筈がない、しかし目の前に顕現していた。


裂傷は面影も消え失せ、肉塊は劣化どころか進化する。


奇怪な異変、されど現実。


灯火陰れど闇が照らす。


宿命の神を排斥し、捻じ曲げた次を産み堕とす。


敵無し、害無し、恐れ無し。


白刃砕け鎧決壊、神威退け骸へ変える。


時が経てば下僕を引き連れ、地平を統べる森羅万象の修羅がそこにはいた。


「ひどく……気分が良い」


個は思う。


"憎い、憎い、お前らを忌み嫌う"。


誰に向けたものか、それは誰も知らぬ墓場の備え。


個は変革を望む。


「全部壊す」


ここに臨月、謀略の誕生。




魔物の王が成った。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ