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「小説家になろうラジオ大賞」シリーズ

最後の観覧車

作者: しゅうらい
掲載日:2024/12/05

 まだまだ暑い夏、大学生のゆかりは、恋人のまこととお茶をしていました。

「最近、ますます暑いねぇ」

「そうだな……」

 まことはスマホを操作していましたが、あることを思いだしました。

「そういえば、新しく遊園地ができたみたいだぜ」

「本当! 行ってみたい!」

「なら、今度の日曜日、一緒に行ってみるか」

「うん!」

 そして、日曜日になりました。

 ゆかりとまことは、いろんな乗り物に乗って遊びます。

 途中、レストランで食事をして、楽しい時間が過ぎていきました。

「はぁー、いろいろ乗ったし、けっこう食べたなぁ」

「ねぇ、最後はあれに乗ろうよ!」

 ゆかりが指さしたのは、大きな観覧車です。

「おっ、いいな。行こう行こう!」

 少し並んでいましたが、意外に早く、二人の番が来ました。

「次の方、どうぞ」

 ゆかりたちは、わくわくしながら乗ります。

 最初は二人とも、景色を楽しんでいました。

 すると、どこからかブーンという音が聞こえてきました。

「あれ、なんの音?」

 ゆかりが振り向くと、そこにいたのは……

「きゃぁーっ、ハチーっ?!」

 そこにいたのは、小さなハチでした。

 予想外の出来事に、ゆかりは大パニック!

 しかも、動いた振動で、機体が揺れ始めます。

「ゆかり、落ち着け!」

「いやーっ! 刺されたくない!」

「だから動くなって! 揺れるだろ!」

 機体は鈍い音を立てながら、左右に揺れていました。

 そしてまことは、ゆかりの肩を掴みます。

「頼むから、静かにしてくれ!」

 そう訴えたまことの顔は、とても青ざめていました。

 ゆかりが気がついて、周りを見れば、もうハチはいませんでした。

「あれ、いない?」

「多分、あそこから入ってきたんだろう……」

 二人が見上げると、換気のためか、小さな窓が開いていました。

 それから二人は、観覧車が一周するまで、一言もしゃべりませんでした。

 やがて下まで来た時、やっとまことが口を開きました。

「俺たち、別れようぜ……」

「えっ……」

 それだけ言い残し、まことは観覧車を降りていきました。

 ゆかりは、ハチには刺されませんでしたが、まことの言葉が胸に深く刺さりましたとさ。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
観覧車のゴンドラ内は密室なので、蜂なんて乱入してきたら逃げられませんからね。 その情景を想像すると、私も怖くなってしまいました。 仮にゆかりさんが過去に蜂に刺されていたなら、今回刺されていたらアナフィ…
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