表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Life ~一つ隣の物語~  作者: るなるな
Life『月と紅茶と幸福を』
57/77

贖罪を」

「だからこそ、ごめんなさい」


 彼女は手を止めた。

「……どういうことですか?」

 僕が聞くとセッカさんは言った。

「ツクヨムを……苦しませたから」

 見上げた視線の先には、一滴だけ、朝露のような液体がまつ毛の先から頬を伝う光景が映っていた。


「私は、ルッカ様のように、あなたが『死にたい』理由に興味はない。空のように、『からっぽ』のツクヨムに関心もない」


 一つの呼吸の後。彼女はゆっくりと、いつものような淡い声へと変わっていた。

 メイド長の痕跡は、右頬に映る照明の反射だけだ。


 ふっ。

 閉め切った部屋に、暖かい春風が舞い、照明の光の一部を消す。

 眼の前の灰色の猫人に影が降り、姿が半分消えた。


「ただ、私は一人の『猫人』として、あなたに触れ、『殺されたくなった』」


 風は、彼女の背後にある火だけを残して消え去った。


 蒼い月を光らせて、黒猫は、聞いた。


「あなたは……どんな『夢』を見たの?」

 ──バキ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ