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……どすん!
「……ったあああい!!」
光に包まれて何処かに飛ばされたぼくは、到着した先で尻餅をついた。
「もう!連れてくならもっと優しく連れてってよぅ……!」
ジンジンと痛み出す臀部を押さえながら、何とか立ち上がって周りを見渡す。
「ここ……図書館?」
飛ばされた先は、どうやら図書館のようだった。
確かに、頭の中に響いた声は図書館が解放されたとか何とか言ってたような。
「そうだ!式部は!?」
近くにはいないようだ。まさか置いてきちゃった?あの状態で!?
いや、それは無い。式部も一緒に光に包まれるのを確かに見た。だったら、彼もこちらに飛ばされている筈。
とりあえず図書館の何処かには居るだろう。探さないと。あの状態の式部を一人にはしておけな────
「きゃあっ!!」
その瞬間、ぼくは思わずらしからぬ声を上げてしまう。
だって、目の前に突然人が現れたから。さっきまで誰もいなかったところに。
「やあやあこんにちは!手荒な真似をしてすまなかったねェ!」
「あっ……」
この声には聞き覚えがある。先程、ぼくの頭の中に響いた声だ。
つまり、図書館に連れて来たのは彼だろう。
「ここは図書館!第二章まで生き残れた者達が招待される場所さ!」
……うん。それは流石にぼくでも分かってる。
そんなことより式部の居場所を聞きたいんだけど、この目の前の変な人は教えてくれるだろうか。何か顔に狐面なんてつけてるし、顔も見えないし……。
「あっ!!」
思い出した!
いや、式部のこととは関係無いんだけど、目の前にいる変な人!まさか、この人って……!
「つづるちゃん!?」
「おっ!私のことを知ってるたァ、さてはなかなかファンクロをやり込んでたユーザーだねェ?……その通り!私は図書館の案内人、綴さ!気楽に《つづるちゃん》とでも呼んでくれたまえよ!」
やっぱり!図書館が解放されると登場するキャラクター、つづるちゃんだ!
非戦闘員とはいえ物語をサポートしてくれてかなり人気のキャラクターだったが、身体つきはかなり中性的で狐面で顔を隠しており、ボイスも実装されていなかったので男女どちらだという論争は度々起こっていたけど……。
「つづるちゃん……男だったんだ……!」
「ああ!リアルになって、ようやく私もボイス実装さ!おめでとう、私!おめでとう、つづるちゃん!」
これでようやく長年の戦いに終止符を打たれることになったのか。
ちなみにぼくはつづるちゃんは男性派だったので、勝ち組である。