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第14話 魔人ルルルシア

「ちっ! やっぱり狙いはそれか!」

「どうしたのゼシィ?」

「やれ! ツノオオダコ! 奴らをその大足で黙らせろ!」


 ボスは詰めの一手を魔獣に指示する。

今の状態でツノオオダコの八本の足から逃げ切るのは無理だ。

しかし。


「どうだセナ! 叶えたぞぉぉぉ!」

「アーシャさん!」


 三匹のうち一匹を倒しても絶望の状況は変わらない。

しかし宿敵であるツノオオダコを倒したことはセナの、ジンメイの、そしてバイハド村の人達の中に確かな感情が湧いた。

悲願達成だ。


「うおおお! 来たぞ!!」

「アアアーシャさん!?」

「セナや村の皆の願いを叶えたことでアタシ様にもパワーが来たんだ!」


 魔剣に輝きがもどった。

熱を帯びた魔力は炎よりも燃え盛り、大気を焦がす。


「くそっ! こいつらの『願い』、やはり魔獣討伐か!」

「おせぇよボスさんよ!」


 魔剣が炎を放つ。

もはやビームではない。

大口径の砲塔から発射されるレーザーキャノンのような圧倒的火力。

二匹のツノオオダコを一瞬で焼き払ってしまった。

さらに炎キャノンは超大型魔獣だけでなく、その射線上の魔獣も全て倒してしまう。


「ぐっ……ぐぅぅ……! なんだよそれ……!」


 この世界の常識ではありえない、見たこともない攻撃。

今までの炎ビームも充分に常軌を逸している。その攻撃を見た盗賊たちがドン引きしたほどだ。

それをなお上回る炎キャノンの威力はでたらめすぎて他人事なら思わず笑ってしまうだろう。

実際、村人たちも固まってしまっている。


 ボスも魔獣を自在に操ってはいるが、もし魔剣がなければ盗賊団全員で戦って大型魔獣を一匹倒せるかどうかだ。

魔獣とはそれほどの存在である。

なんなのだ、炎の魔剣は。何の為にそんな力を持っているのだ。


 周囲を見渡すと呼び出した魔獣もわずかしか残っていなかった。しかも殆どが怯えていて、逃げ出す小型魔獣もいる。

あっという間に形勢逆転だ。

新しく魔獣を呼ぶ……? でもどんな魔獣を呼べばあれに勝てるというのか。……無理だ。


「……ルルルシア?」


 そこでボスは気が付いた。

魔剣『エーツファレオ』の剣身が輝きを失っていたことを。


「どうした? おい、ルルルシア!」

「……魔力を使い切ったな」

「なに? どういうことだ炎の魔剣ッ!」

「ルルルシアからはもう殆ど魔力を感じねぇ。今の魔獣三匹を呼び出すのに消費したパワーはデカすぎたようだな」


 人間は魔力を察知できない。

アアアーシャの言っている事が正しいのかボスに知る術はないが、今のルルルシアの状態を見れば間違いではないのだろう。


 ボスの願い、欲するという強大な欲望は超大型魔獣三匹を呼び出せるだけのパワーをルルルシアに与えていた。

だが炎キャノンの圧倒的火力によって、ボスも願いより炎の魔剣への恐れが上回ってしまった。

結果、ルルルシアはボスからのパワーを得られなくなり、魔力切れになってしまったのだ。


「そんな……俺が、俺のせいなのか……返事をしてくれルルルシア……」


 今度はボスが膝をつく番だった。

黒い塊となった魔剣を両手に掲げ、力なく視線を落とす。


「……ダメっっっ……!」

「ルルルシア!?」


 まるで死者が息を吹き返したかのように、ルルルシアが突然声をあげた。


「まだ……なんだから! ゼシィは負けない! 私は絶対にゼシィの望みを叶える!」


 魔剣『エーツファレオ』が黒く、強く、輝いた。

再び剣身が黒色の光を帯びる。だがそれは一瞬の事で、漆黒の刃は急速に光沢を失っていく。


「おい! ルルルシア、何をしている?」

「あいつ、まさか自分の生命を削ってるのか!?」

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