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第11話 炎の魔剣

「ちょ、アアアーシャさん? やりすぎでは」


 炎ビームは魔獣も家も大地も吹き飛ばし、まるで整地でもしたかのように全て平らにならしてしまった。


「お、おう! わりぃセナ!」

「いえ、問題ありませんアーシャ殿!」


 答えたのはセナのジンメイ兄。


「村の人間は全員ここにいる。気になさらずに魔獣を倒してください!」

「思い切りがいいじゃねぇかジンメイよ!」


 それじゃあ遠慮なく、と炎ビームを連発。

魔獣を次々と撃破していく。

ジンメイやセナ、バイハド村の剣士達も盗賊から奪った武器で小型魔獣を撃破していった。


「おい! お前らは俺の作る世界の民なんだぞ! なんで炎の魔剣の味方してんだよ!」


 炎の魔剣と共闘するジンメイに慌てるボス。


「私はあの時、抵抗をやめただけだ。お前の世界の民とやらになった覚えはない!」

「なんだよそれ! ずりぃ!」


 アアアーシャは絶好調だった。

炎ビーム一発で数匹~数十匹の魔獣が吹き飛び魔石に変わる。

貫通力に優れるので敵が密集してるバトルでは便利な技だ(だからこそ村人に当たる可能性がある位置関係では撃てなかったのだが)


「ゼシィ、魔獣がどんどん減っていくわ!」

「お前ら! ふざけんなァ!」


 ボスが魔剣を地面に突き刺した。

健太郎の背後の大地が割れて大型魔獣ツノオオミミズが飛び出す。


「背後!? 地中にも魔獣を呼べんのかよ!」

「うわぁぁぁぁぁホントにキモい!」


 ミミズがでかい。個人の感想ではあるがデカいミミズはデカいカエルと比べても圧倒的にキモかった。

大きい事はいいことだ、とか大は小を兼ねる、とかそんなの戯言だと思えるキモさだ。


「よし! やれミミズ! 存分に暴れろ!」


 健太郎が体勢を変えるよりも早くミミズが襲いかかる。


「このっ!」

「やーー!」


 すかさずジンメイとセナがミミズを斬りつけた。

倒すことは出来なかったがダメージは入った。ミミズの動きが止まる。


「ありがとよお二人さんっ!」


 炎の一閃。ミミズも大きな魔石と化した。

アアアーシャの超火力を主力とし周囲をセナやジンメイがサポートする。

なかなかバランスの取れた陣形になっていた。


 大型魔獣はサイズがデカいので下から上に向かってビームを撃つ事ができる。

つまり貫通してもまわりに被害を出さなくて済むのだ。今の状況でこれは大きい。

魔剣の力を存分に使える今、大型魔獣は脅威の存在ではなくなっていた。


「どうするのゼシィ~!」

「落ち着けルルルシア。次で決めてやる!」


 ボスは再び魔剣を地面に突き刺した。

魔剣ルルルシアの魔力が地面を流れる。


「なんだ、またデカいミミズかよ!」

「今度は僕が後ろも警戒しますよ……!」


 正面の魔獣に魔剣を向けながら、健太郎は地面から魔獣が出現したらすぐに振り返ってビームを放てるように背後にも注意する。

だがボスが呼び出したのはミミズではなかった。

モグラだ。しかも大型ではない。数匹の小型魔獣イッカクツノモグラが健太郎の足元から飛び出す。


「えっ……!?」


 大型魔獣が来ると思っていたため、足元から小型魔獣は完全に予想外だ。


「ははっその距離だ! 炎も無理! 剣士の助けも間に合わないぞ!」

「ちっ!!」


 モグラが飛び出た瞬間、魔剣はとっさに魔人の姿に変身した。

健太郎は両手で魔剣を握っていた。魔人の位置は健太郎の正面だ。


「アアアーシャさ……!」


 変身した時、、アアアーシャは顔を健太郎の方に、背中を地面に向けていた。

一瞬、二人の目が合う。


「ぐうううううッ!!」

「!!」


 直後、アアアーシャは地面から飛び出したツノモグラの攻撃を受けた。

数匹のツノモグラが弾丸となって背中をえぐる。


「アアアーシャさんっっっっっ!」

「はぁっ!」


 すぐにジンメイが駆けつけ、ツノモグラを撃破。

セナと一緒にアアアーシャを庇うように前に立つ。


「ちょっ! アアアーシャさん!」

「アーシャさん! 大丈夫ですか!」

「アーシャ殿……っ!」


 地面に倒れる前に健太郎がアアアーシャの体を抱きとめた。

胸に巻いていたサラシが切れて、背中が無防備に晒される。

その背中に触れた手にザラっとした感触。


「……!」


 美しい肌は縦横に裂かれていた。

さらにドロッとした液体が健太郎の手を染める。

赤い。これは血なのだろうか?

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