第6話 魔剣のシステム
「ゼシィの願いの強さ、望む力は普通の人間の比じゃないわ。叶えるたびに私も凄い力をもらっちゃったの」
右腕を曲げて力こぶをつくるような仕草をするルルルシア。
白く細い腕を曲げても力こぶなどできないが、ポーズが可愛い。
「それでそこまで強くなったってか……」
「……叶えるたび……? 魔剣は人の願いを叶えるとパワーアップでもするんですか?」
「そうだ。今ルルルシアが言ったようにな。願い……まぁ欲望と言ってもいいな。それがデカい程、叶った時のエネルギーもデカい」
「そのエネルギーは願いを叶えた魔剣に還元されるのよ、ボク★」
ルルルシアが健太郎に向かってウィンクをした。
ボク!? これはアレだ、美人お姉さんが年下の男をからかうような時にいうやつだ。まさか言われる日が来るとは。
というかアアアーシャもルルルシアも超美人お姉さん風な外見ではあるが実年齢は何歳なんだ?
悠久の年月を生きる超生命で、御年何千歳とかなのだろうか。
「私が出会った人間の中でもゼシィの願い、望み、欲する力は最高よ。彼の願いを叶え続ければ最強の魔剣にだってなれるわ」
「けっ、最強の魔剣ねぇ」
「アアアーシャちゃん、あなたはどうなの?」
「あん? 何がだよ」
「見たところ、そのカレがアアアーシャちゃんのマホルみたいだけど、強い願いや大きな欲なんかを全く感じないわよ」
今の話で魔剣のシステムをおおむね理解した健太郎は考える。
何を犠牲にしても叶えたいとか、それこそ世界を敵に回しても叶えたい、みたいなものを『強い願い』と呼ぶのだろう。
健太郎はアアアーシャに「守って欲しい」と願い事をした。
身の安全や命にかかわる願いではあるが、そもそも自分の命に対しての執着があまりない。
もちろん自暴自棄なわけでも積極的に死にたいわけでもない。
だが泥水をすすってでもとか、他人の命を奪ってでも生きたいかと問われたらそうは思えない。
そんな自分の願いはきっと『弱い願い』なんだろう。
こんな願いを叶えてもアアアーシャには大した見返りはないのではないか。
「駄目よアアアーシャちゃん。小さな願いや弱い願いなんて叶えてないで、もっと大きくて強い願いを叶えた方がいいわ」
「はぁぁぁぁ? うるせえよてめぇ!!」
アアアーシャが吠えた。
その場にいた全員が驚き、視線が集まる。
「アタシ様はアタシ様が叶えたいヤツの願いを叶える! デカいとか強いとかカンケーねぇよ!」
「……アアアーシャさん……」
「ええー? なんで怒っちゃうのぉ? アアアーシャちゃんの為を思って言ったのにぃ」
ルルルシアも驚きつつも悲しそうな顔をした。
アアアーシャが何で怒ったのか、本当に分からないようである。
宙に浮いたまま、体を丸めている。




