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第1話 再会、兄と妹!

「あ! 見えてきました! あれです!」


 丘の上に黄色の屋根が見えてきた。

あれは村の中心、村の象徴のような建物だ。

この一本道を上った先にバイハド村がある。

約四日間の馬車旅は初日に盗賊に襲われたこと以外に大きなトラブルもなく終わろうとしていた。


「あれから盗賊も襲ってこなくて、ホント良かったですねアーシャさん!」

「まぁ来たら来たで丸焼きにしてやっけどな!」


 今回の目的はツノオオダコ討伐であり、バイハド村へ辿り着くことではない。

つまりまだ何も達成できていないのだが無事に目的地へ到着できたことには安堵を覚える。


「……」


 最初は喜びを見せていたセナだが、村に近づくにつれだんだんと口数も減り身をかたくしていた。

黙って村を出たので、どうやって兄と顔を合わせれば良いのか悩んでいるのだろう。


「この村に何用ですか?」


 入口まで来ると槍を持った男たちに声をかけられた。

村の門番だ。


「えーと、アタシ様たちはだな……」

「旅芸人の方でしょうか」「いや、奴らの仲間……」


 奴ら? 仲間?

口調は穏やかだが、かなり強い警戒心を持っていることが伝わってくる。


「あ、あの、セナです!」

「え!? セナちゃん……!」


 門番はセナを見て驚きの声をあげる。

そして近くにいた村人に向かって叫んだ。


「みんな! セナちゃんだぞー!」

「……セナ!?」

「セナ! セナだ!」

「セナちゃん!」

「なにぃ? セナだってぇ!?」


 その声は村人から村人へ、村の奥へと伝播していく。

まるで伝言ゲームだ。

いつの間にかセナ、セナと人が集まってきた。

村長の妹というだけあって皆に存在を知られているらしい。当然、村を助けてくれる人を探しに一人で旅に出たことも。


「セナ!」


 集まった村人たちをかき分けるように一人の男が飛び込んできた。

背が高くがっしりとした体格。逆立てた髪はツンツンと硬そうで頬の半分を覆うまでに伸びたヒゲ、腰に下げた剣などから屈強な戦士という印象を受ける。

この寒さの中で上半身はタンクトップのようなノースリーブのシャツを一枚着ているだけだ。発達した肩の筋肉が特に目立つ。

 

「お兄ちゃん……!」

「よく戻ったな……セナ……!」


 男はセナの兄、ジンメイだった。

セナが呼ぶや否やジンメイはセナに抱きついた。

体格差のせいで美少女が巨大なクマに襲われているかのようでもあるし、抱擁というよりは巨大な人工生命体が今まさに美少女を吸収し完全体へと変貌を遂げるシーンのようでもある。

感動的な場面なのだろうが変な想像をしてしまったせいでイマイチのれない健太郎だった。


「ごめんなさいお兄ちゃん、心配かけて……」

「……いまさら叱ってもどうしようもあるまい。無事に戻ったこと、我らのことを考えての行動を嬉しく思うぞ」

「ちくしょう……泣かせるじゃねぇか……!」


 兄妹の再会にアアアーシャは涙ぐんでいる。情緒豊かな魔人だ。

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