表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/54

第7話 ヤンキー魔人と野宿

 健太郎とアアアーシャは二人、焚き火の火を囲んでいる。

日が落ちる前に次の宿場町に着きたかったが無理だった。

夜は冷えるが今日は野宿だ。馬車には毛布も積んである。


「健太郎、寒くねぇか? オマエもこっち来ていいぜ」


 アアアーシャが自分の右側をポンポンと叩く。

セナはアアアーシャの左腿を枕にして寝てしまった。


「いえ、お構いなく」

「遠慮すんなよ、みんなで固まった方が暖かいって」


 それは確かにそうなのだが。

長い社畜生活で禁欲的な日々を送ってきた健太郎。

今さらアアアーシャに対して変な気持ちになるとは自分でも思っていない。

しかし自分を無防備にさらけ出すような、人の行為に『甘える』といったことが難しくなっていた。


「ていうか毛布、使ってくださいよ」

「ええ~~可愛くねぇんだよなぁこれ」


 アアアーシャは毛布を使っていない。

布地の少ない服そのままの格好だ。

寒さ暑さに強いことは聞いたが、それにしてもこの寒さの中でその露出は見ている方が冷える。


「……そういえば。アアアーシャさんの体、あれって体温なんですか?」


 肩を組んだりと、何度かアアアーシャに触れる機会はあった。

その時に人の熱を感じたのだ。


「あー、アタシ様は炎の魔剣の魔人だからな。体温というよりは炎の熱だ」

「……あれが炎の熱?」

「温度くらい調節できるぜ。それっぽくしてるのさ」

「……なるほど」

「夜は寒いからな。人肌よりはもうちょい温度をあげている」


 そう言われると、非常に魅かれる。

焚き火と毛布だけではやはり寒い。 

セナの寝顔は実に安らかだ。ちょうどよい暖かさなのだろう。


「別にくっつかなくてもいいさ。隣に来いよ。それだけでもけっこー違うと思うぜ」

「……では、お言葉に……甘えます」


 健太郎はアアアーシャの右隣に移動し腰を下ろした。


「え、何これ暖かい」

「なっ?」


 アアアーシャが笑う。

自分の力を誇るような笑みではなく、相手の感情に共感し一緒に喜ぶ笑顔だ。

実際、アアアーシャの隣りは暖かい。

炎の力強さというよりはじんわり沁みわたる優しい熱だった。


「健太郎、オマエも寝ていいんだぜ。アタシ様が見張ってるからよ」

「先ほど充分に寝ました。もう眠くないです」

「あん? なんだかんだで言うほど寝てねぇだろ?」

「社畜が長かったので。短い睡眠に慣れてしまったんですよ」

「なんだそれ、体によくねぇぞ」

「今さらですよ」


 現実世界では今何時なんだろう。

暗くなると時間の感覚が分からない。

しかし、間違いなく普段はまだ仕事をしている時間のはずだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ