表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

レールをはみ出すと見える世界

作者: 蒼空よひら

この人間が渦巻く世界で、僕の価値はあるのだろうか?


そんなことを考えていると、いつの間にか大人になっていた。

普通に大学に行って、流されるがまま就活して、就職して。

世間が引いたレールの上を歩くのが当然だった。


子供の頃は、もっと特別な人間になれていると思っていた。

パイロット。

医師。

スポーツ選手。


今思えば、欲にまみれた単純なもの。

モテる、お金持ち。

それが全てだった気がする。


物事の上っ面しか見る力がなくて、

肝心なところが見えてない気がした。


それが見えるようになったのは大人になったってことなのかな?


芽を生やしたばかりの命は、

自分が何になるのか希望を持つ。

綺麗なひまわりなのか。

大きな巨木なのか。

可憐に咲く薔薇なのか。


そのどれもが、生まれながらに洗礼されていることに僕らは気づかない。

気づく術すらない。


特別なのは、生まれながらにして特別に生まれる。

その環境がそうする。

本人の意思は無関係に。

強制的に。

勝手に。

強引に。

拒否してもそれは知らぬ間に身についてしまっている。


自由なことなんてないさ。

敷かれたレール以上に走ることを、

僕らは許されていない。

特別なレールでさえ。


レールをはみ出してごらん。

動力は、自分で賄わなきゃいかない。

整備されている道はどこにもない。

ほら、すごい目でこっちを見てくる。

忌み嫌われる。


耳をすませばほら、

「みっともない。」

「いつまでやってるの?」

「かわいそう。」


それが普通なのさ。

レールに乗ってきた人間はそう見るしかないのさ。

彼らは悪くない。

真っ当に敷かれたレールを進んでいるんだ。

何も悪いことはしてないだろ?


極論を言えば異端な僕らが悪いのさ。

そのレールからはみ出してしまったのだから。

目立って仕方ないだろ?

出てる杭は打たないと、

建物自体がおかしくなることもあるからね。


それに耐えきれないのなら、

夢なんて、特別になろう、なんてしなさんな。


真っ当に生きているのが悪いことなんてありえないんだから。

たとえ特別な生まれだとしても、

その特別ゆえに敷かれたレールの上を走るのが基本。


なりたいものがあるのかい?

なら、耐えなきゃいけないものがある。

それは、世間の目だよ。

それは、人から受けるものもあるけど、

自分がそう見てしまっていることも自覚しないと。

ただでさえ、僕らには、レールからはみ出したという、

消えない劣等感みたいなのがあるのだから。


レールの上を走りたかった?

レールの上を走ることは理想だよ。

世間と君が作った理想。

安定感と計算され尽くされた理想。

仲間はずれになることなんてない。

でも、同じような道しか歩けない。


レールから外れる利点は、違う道が楽しめるってことだけかな?

でも、僕らはそれに命をかけてるんだ。

新しい世界が見えてくるのを期待してね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  私は落ちこぼれて、レールに乗れなかったです。  元から普通が苦手で、落ちこぼれるしか無かった。  それで学んだのは、普通の振りをしてあげないと周りは安心できないんですね。  自分の枠からは…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ