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猫小説、猫の詩

猫の恩返しが伝わらない

作者: リィズ・ブランディシュカ




 立派な猫になりたい。


 他所猫から指をさされるような猫にはなりたくない。


 なので私は、きっちり借りを返す事にした。


 玄関とんとん。


「にゃあにゃあ」


 がらっ。


「あらあら。どうしたの猫ちゃん」


 私は「あの時たすけていただいた猫です、恩返しにきました」と言った。


 しかし猫なので、喋れない。


「にゃー」としか言えなかった。


 でも、その人は笑顔になって「お家にお入り」と迎え入れてくれた。


 優しい人間だな。


 そう思った。


 第一印象もそうだった。


 優しい人間そうだと思った。


 そしてその通りだった。


 この前に出会った時、溝に落ちて這い上がれなかったところを助けてもらった。


 そして、美味しいご飯を用意してくれて、しかもその隙に寝床まで用意してくれていた。


 だからとても優しい。


 そんな優しさに報いるために、きっちりと恩を返さなければ。


 しかし。


 この家の害虫や害獣を狩って、返しきれる恩だろうか。


「にゃあああ」

「きゃあああ。なんか、黒くててかてかしてるものくわえてる!」


 もっといい恩返しはないだろうか。


「にゃあああ」

「きゃあああ。その鳥さんどこで捕まえてきたの? ぺっってしなさい!」


 その人間は一人暮らしでずいぶん寂しい思いをしているようだ。


 そうだ。だったら。


「みーちゃん。今日実はねぇ、こんな事があったのよ」


 話し相手が欲しいと言っていたので、「にゃー」と相槌もうってあげよう。


 だとしたら、住み込みで毎日働かなくちゃいけないな。


「にゃうにゃう」


 ごろにゃーん。


 なでなで。


「野良猫だったのを室内で飼うのは難しいかもって話を聞いたけど、やけに順応が早いねぇ。ひょっとしてあたたかい寝床を得るために、拾われるのを狙ってドジしてたのかい?」



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