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私と彼等の日常は、あまりにも非現実的すぎる(正位置編)

無言の圧力(法王の正位置)

作者: 死神の嫁

目は口ほどに物を言う

「……」


 まただ、また彼は目で何かを語っている。彼は必要最低限の事しか話さない、代わりに目で語るのである。


 終始無言の彼の名は『法王』の正位置。カード番号は5で、主な意味は『正しさ・秘密主義・計画的』など。この正しさは精神的なものを表す。


「……」

「あの…何? いやね、流石に言ってくれないと分からないから!」

「……」


 必死に懇願するも、やはり変わらず無言のまま。仕方なく私は、じっと彼の目を見た。


「……」


(しなければならないことを放置して一体何になるというのだ。さっさと作業に戻れ)


 恐らくだが、こういうことを言っているような気がする。しかしこれくらいのことなら、口に出してくれてもいいのではないだろうか。そもそも今日中にしなければいけないことなどあっただろうか。


「あの……しなきゃいけない事とか何かあったっけ……」

「……」


(言われなければ思い出すこともできないとは…浅はかな頭の持ち主よ)


「そもそも言ってないでしょう。大体ね、私だってこの解釈であってるかわからないままで会話してるの! それに反応してくれないと、会話が成立してるかも分からないんだけど!」


 私がそう言った瞬間、ほんの僅かではあったが、彼の表情に変化があった。骨格を上げて、笑ったのだ。


「え、今笑った……?」

「……」


 彼は答えなかったが、確かに笑った。その笑いはもしかすると私に対する憐みの笑いかもしれない。それでも嬉しいと思えるのは、それだけ普段彼が笑わないからだ。主としては、どんな理由で笑っていても嬉しいものなのだ。


「……」


(どうしようもない主だが、これはこれで面白い)


 この時の彼がこう思っていたことを知るのは、もう少し先の話。

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