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三年目はもうすぐ

冬も過ぎ去り春の陽気が訪れ始めた季節。

それに伴いオルライトも三年目に向けて気を引き締め始める。

産業の土台はほぼ完成し、生産もかなり安定し始めた。

三年目はそんな産業の収益を最大化していく事に力を入れる事となる。


「うーん」


「どうされましたか」


「あ、ヨハン、少し相談があるんだけど」


何か考えていた様子のオルライト。


ヨハンがちょうど近くにいたようで、少し相談を持ちかける事にした。


「実は三年目には工場を建てようと思うんだけど」


「工場ですか、今ある店舗などでは生産が追いつかないとかですか?」


「違うのよ、工場で生産するものは基本的な材料となるものの方よ」


「つまり機械の部品や服作りに使う布、薬作りに使う瓶などのそういったものですか?」


「ええ、そういうものを大量生産出来れば生産力が大きく向上するでしょう」


売り物を作るわけであるからして、まずは材料の確保が最優先になってくる。

そのためには材料となるものを大量に用意しなければならない。


そこで工場を作り布や瓶、部品などの大量生産を始めようという事になる。


「あなた達は地元にも工場を持っていたんでしょう?そのノウハウとかを教えてくれないかしら」


「それは構いませんが、工場を建てる土地はあるんですか?」


「開拓した土地に住居や店舗をたくさん建てたけど、まだある程度の余裕はあるわよ」


「なるほど、ただ一つの生産物に対して工場一軒で賄うのは厳しいですよ」


「つまり一つのジャンルに対して最低でも二軒以上っていう事かしら」


今の規模から考えても工場一軒で産業一つには生産が追いつかないという。

なので布なら布の工場が最低でも二軒以上必要になると考えられると。


それぐらいなら土地は充分に余っているとオルライトは言う。


「ならそれで調整していくのは決定ね、工場で働く人への労働の斡旋にもなるし」


「住民も増えてきましたから、工場が建てばそれだけ労働者も増やせますしね」


「ええ、そういう仕事をしてくれる人がいないとそもそも成り立たないもの」


「とりあえず工場で作るのは製品そのものではなく、その材料となるものですか」


「ええ、それを大量生産出来れば製品自体は人力でも回転効率は大きく上がるから」


ただそれでも過労になるような労働を強いる事は出来ない。

それでも生産数の向上にはまずは原材料の確保が必要になるのは確かだ。


畑なども増えているので、そうしたものの確保には困らなくはある。


「製品を作るのは今の店舗でも充分回るのよ、元々質のいいものを想定してたし」


「なるほど、ただそれでも平民などでも手が出しやすい程度には考えていると」


「目標のためには数を捌かないといけないもの、それなら平民にも買ってもらわないとね」


「そのために値段を抑えた平民向けの製品も作っていくという事ですか」


「そう、貴族には今まで通り高いものを買ってもらえるようにすればいいしね」


お金がある人には思い切り買ってもらえるようなものを作る。

その一方で平民向けのブランドや製品なども作っていく。


それは将来必ず意味を持ってくるとも考えている。


「とりあえず草案は大体は固まってきたわ」


「それは何よりです」


「原材料の生産が増えていけば製品を作るのも圧倒的に楽になるものね」


「他にも薬に使う容器なども量産していく事で薬の生産を増やせるという事ですか」


「容器って何気に大切なのよ、そこの量産が成功すれば確実に世界が変わるわ」


オルライト曰く容器の大切さもしっかり考えているという。

薬を入れる瓶は本来は手作りである事がほとんどだ。


薬が高級な理由の一つに容器の確保に時間がかかる事にあるとオルライトは知ったとか。


「薬が高い理由は容器にもあるのよね」


「液体の薬は基本的に瓶ですからね、粉薬なんかも紙の確保が大変と聞きますし」


「そうなのよね、だから薬の相場を一気に破壊しに行くわ、それは結果として人を救えるし」


「薬の相場を壊しに行くとは罪深い人ですね、同業者に恨まれますよ」


「薬はそれだけ重要なものだからこそなのよ」


オルライトの計画は薬の相場を破壊する事。

それは同業者に恨まれるかもしれないが、結果として多くの人を救う事になる。


平民でも手が出せるものを作るというのが目標の一つでもある。


「とりあえずまとまった事を整理しなきゃ、いろいろありがとうね」


「いえ、その熱意を信じていますよ」


「期待してていいわよ、さて、三年目はもうすぐね」


オルライトの計画、それは平民でも手が出せるものを世に流通させる事。

それは結果として多くの人を救う事に繋がると理解している。


とはいえそれは多くの人の恨みも買う事になるだろう。


村の発展は同時に様々な革命も起こそうと画策し始めたようだ。

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