月を見る
春も本格的に始まり三年目の始まりはすぐそこまで来ている。
オルライトも三年目から本番だと捉えているようで、いろいろとやっている。
そんな中目標である住民10000人か納税額1000万は見えてきた数字となる。
それだけの規模になれば村ではなく確実に街なのだが。
「フユって卵が好きだったりするの?」
「なんだ、また」
「いえ、こっちでも卵料理とか結構食べてるって聞いたから」
冬夕は卵が好きというのは嘘ではない。
実際ファミレスなどに行くとハンバーグなども目玉焼き付きで頼むとか。
「卵が好きなのよね?」
「あー、卵が好きっていうか今は月見の季節だからだよ、まあ好きなんだけど」
「月見?それって月を見るっていう事かしら」
「そうだよ、この季節は十五夜とかがあるから、月見のシーズンでな」
「それで卵をよく頼んでいたのね」
卵の黄身を月に見立てて月見というのは日本独特な文化なのかもしれない。
実際ハンバーガーでは定番となったのが秋の月見だ。
その一方で古くからはそばに生卵を乗せた月見そばなどというものも存在する。
「つまりフユの世界だと卵を月に見立てた、月見文化があるのね」
「そうだよ、この前も月見バーガー食ってきたしな」
「ふーん、面白い文化があるのね」
「古くからだと月見そばなんてのもあるしな」
「なるほど、でも卵が好きなのは嘘ではないのよね」
冬夕も卵が好きなのは嘘ではない。
卵焼きなんかは好きだし、ハンバーグにも目玉焼きを乗せるタイプだ。
半熟卵の黄身がトロリとするあの感じが何よりもいいという。
「でも卵をそうやって楽しむっていうのは意外な感じがするわ」
「まあ卵って言ってもいろいろあるしな、たまに食べたくなる卵かけご飯とか」
「卵かけご飯?」
「生卵をホカホカの米に乗せて混ぜて食うんだよ」
「ちょっと待って、フユの国だと生卵を食べるの?冗談ではなくて?」
流石に生卵を食べるというのはオルライトでも驚く話らしい。
生卵を食べるというのは異世界でも驚かれるものなのかという事だ。
冬夕も卵かけご飯は好きなので、たまに食べているらしい。
「生卵を食べるっていうのは流石に信じられない話ね、お腹壊したりしないの?」
「あたしの国では特にそういう話はないな、海外に行くとまず無理らしいけど」
「へぇ、つまりそれだけ綺麗で新鮮な卵が手に入るって事なのね」
「まあそういう事だよな、卵は物価の優等生なんて言われてたぐらいだし」
「それだけ卵に対するこだわりが強い国なのね」
卵を月に見立てて月見と言ったり、生卵を食べる事が出来る国というのは面白い。
オルライトはそうした異世界の文化には素直に驚いている。
ちなみに月見というのはそれこそ風情を楽しむものではある。
「月見って結局は月を見るだけなのかしら」
「んー、月見団子とか用意したりもするんじゃね」
「月に何か特別な想いがあるとかそういう事なのかしら」
「まあかぐや姫でも月に帰るとかあるし、月にはうさぎがいるとか言うしな」
「へぇ、そういうお話があるのね、だから月に想いを馳せるみたいな感じなのね」
月にはうさぎがいて餅をついているなどというような文化がある国ではある。
なので月見というのもそうしたところから来ているのかもしれない。
卵の黄身を満月に見立てているのが月見文化とも言える。
「月見の文化っていうのは分かったわ、卵をそういうふうに見ているなんて面白いわね」
「まあ月見文化っていうのはハンバーガーにそばとか他にも何かとあるしな」
「でも生卵を食べるっていうのはこっちでは出来そうにないわね」
「あたしの世界でもほとんどの国で食えないからな」
「生卵を食べられる時点で技術のレベルが分かるってものよ」
オルライトでも驚く生卵を食べるという話。
それはいかに卵を新鮮で清潔にしているかという話でもある。
月見文化と同時に卵の新鮮さにも驚きを隠せない様子。
「卵を月に見立てるっていうのは面白い発想だなとは思ったわね」
「卵の黄身を満月に見立ててるわけだからな」
「お月見っていうのは満月の日にやるものなのね」
「まあ見えるっていう保証はないけどな」
「でも面白い話だわ」
月見と言っても天気次第では月が見えるとは限らない。
空がよく晴れていなければ当然月は見えない。
そんな月見というのは食にもそれを見出したのかもしれない。
「フユは卵が好きなのね、月見とか関係なく」
「まあ卵料理は大人も子供も大抵は好きなもんだろ」
「それもそうね、卵はそれだけ美味しいもの」
そんな卵と月見の話は文化の話でもある。
月を見るという文化は月に対して想う何かがあるのかもしれない。
うさぎが餅をついているとは言ったものである。
オルライトも卵をそのように見るというのは面白いと感じたようだ。




