聖職者達の移住
村への移住者もだいぶ増えてきた冬の日。
そんな中先日移住してきた人達の中に聖職者の人達が混ざっているのを見た。
確かに村の人達の要望で教会は建てたが、どうやらその関係者のようだ。
揉め事などが起きないかと目を光らせると同時にきちんと挨拶もしておく事に。
「失礼します」
「これは領主様、このたびは我らを受け入れてくださり感謝いたします」
「ええ、それにしてもこんな辺境にまで来るなんて凄いですね」
迎えてくれたのは神父様の様子。
村では多様な宗派の人達が移住してきているので、それについても話す事に。
「それで何か困った事とかはないですか」
「そうですね、確かに宗教ではありますがこれといった禁止しているものはないです」
「なるほど、なら特にこちらから何かする必要はないですかね」
「ただ言うならば揉め事は避けたいのです、イメージに傷が付きますからね」
「ふーん、まあ確かにそれはありますよね」
神父様曰くイメージに傷がつくような事は避けたいという。
オルライトもそれを想定してか、各宗教に対応した施設は建設してある。
今回移住してきた聖職者達はこの国では最大宗派で信者数もダントツの宗教だ。
「それで要求があるのなら今のうちに聞いておきますよ」
「要求ですか、そうですね、定期的に集会をさせて欲しいぐらいでしょうか」
「集会ですか?それぐらいなら別に構いませんけど、ただ申請なしでは許可出来ませんが」
「おお、そうですか、では必要な時はきちんと申請を出させていただきますよ」
「まあよほど怪しげな活動でもしないのであれば村での活動は自由にして構いませんから」
オルライトも宗教関係には目を光らせないといけないという事は理解している。
とはいえこの村に派遣されてくるという事は、本部での扱いはよくなかったのか。
そうしたところまで考慮した上で様子は見ておく事に。
「でもこんな海沿いの村に派遣されるという事は、本部での扱いはよろしくなかったと?」
「はは、お恥ずかしい、今回一緒に来た人達は本部で問題を起こしましてね」
「つまり俗に言う島流しや左遷、そういった扱いですか」
「はい、敬虔な信徒でこそあるのですが、素行が悪い人達を私がまとめて引き取ったのです」
「なるほど、それで扱いに手を焼いていた本部がこの村に行けと言ったと」
神父曰く今回一緒に来た修道女やシスター、神官や僧侶は素行の悪い人達だという。
その一方で信仰心だけは本物の敬虔な信徒である、それで見逃されていたと。
とはいえ本部も限界だったのか、この村に派遣という形で左遷したのだという。
「そういう事ならまあ暴力沙汰でも起こさない限りはこっちも大目に見ますよ」
「ありがとうございます、それにしても村と聞いていましたが、すっかり街ですね」
「村を発展させるのが私の仕事ですから、必要なものがあればいつでも言ってください」
「感謝します、人数は少ないですが、みなさんなかなかに個性的ですよ」
「ならあとでそっちにも挨拶しておきますね」
神父曰く一緒に来た人達はみんな個性的な人達だとか。
ただ素行が悪いという事もあり、そこは会ってみないと分からない。
神父もこの村で布教などの活動に勤しむ事にするとのことらしい。
「でも信仰心は本物なのになんで素行が悪かったんですか」
「我々の本部は孤児院も運営していましてね、そこからそのまま聖職者になったりとかですよ」
「なるほど、つまり孤児院時代から素行は悪かったという事ですか」
「その一方で信仰心は強いんですよ、彼らなりに神様を恨んでいるのかもしれません」
「恨んでいるのになんで信仰心が強いんですか?」
孤児院にいたという事は少なくとも親の事が分からないような人達だろう。
それが信仰心が強いというのは彼らなりの神様への恨み節なのか。
祈りというのも本当は神様への呪詛なのかもしれない。
「なんにせよ事情は分かりました、困った時は遠慮なく言ってきてくださいね」
「感謝します、領主様」
「はい、それではなるべく揉め事は起こさないでくださいね」
そうして挨拶を済ませ仕事に戻っていくオルライト。
素行の悪い聖職者達ではあるが、信仰心は本物という。
だが孤児院にいたという事もあり、神様を本当は信じていないのか。
神父様も人がよすぎると感じたのであった。




