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スパイスは作るもの

最近はすっかり寒くなり、室内での執務が中心の季節。

そんな中密かにエルフに依頼していたものの報告が上がる。

何を依頼していたのかと言うと、世間的には高価なスパイスの栽培だ。

スパイスは加工品であり元は植物なので作れないかと相談していた様子。


「お待たせ、頼んでいたものは本当に出来たの?」


「はい、オルライト様がお金を惜しまなかったのも大きいですから」


「ふむ、確かにこれがスパイスの元となるものなのね」


エルフは植物に対する知識が豊富な種族だ。


それもありスパイスも知識さえ覚えてしまえばあとは話は早いのだろう。


「それにしても本当にスパイスの栽培に成功するとか、流石はエルフね」


「村の環境もあるので、全部は成功はしませんでしたが、八割は成功しましたね」


「それだけでも充分よ、これだけ成功すれば産業として大きいわ」


「スパイスは世間一般では高価なものなのに、そこを破壊しに行くつもりなんですか?」


「そうね、砂糖とスパイスは確かに高価なものよ、でもそこに革命を起こすのも面白いわ」


オルライトはそうしたスパイスや砂糖をもっと気軽に使えるようにしたいとも言う。

そこで村の産業にしてしまえば安く流通させる事も出来ると考えた様子。


もちろん極端に安くするという事は厳しいのは分かっているが。


「ただ産業として価格を落とす事に成功すれば料理の革命にも繋がるでしょう」


「確かにスパイス料理や砂糖を使ったお菓子類がある程度の下流層に広まるのは大きいかと」


「そのためにはまず料理の宣伝からね、フユからその辺はいろいろ教わっているわ」


「異世界のお菓子や料理をこっちで再現しようというのは面白いとは思いますけど」


「実際いくつかはすでに生産が確立されているもの」


そういう所は手が早いのもオルライトらしさか。

試験的に村にケーキ屋、要するに洋菓子店を建て菓子職人も招聘している。


近いうちに王都の方から村で働く予定の菓子職人がやってくる予定だという。


「まずは菓子職人を呼ぶ事からなのよ、設備はもう完成しているから」


「村からお菓子を発信しようという事ですか」


「ええ、料理に関しても村の人達でも回るけど、今度プロを招く予定よ」


「確かに村の主婦の方達の味は家庭料理のそれですから、産業ならプロが欲しいですね」


「作るだけなら村の主婦の人達でもいいのよ、でも売り物にするならプロの力が欲しいの」


そんな売り物として作っていくためにはプロの力を借りるのが定石である。

試作品などは主婦の方達が何度も作ってきた。


領主館にも実は専属料理人はいるのだが、人数が少ないのが難点だと。


「領主館のシェフも確かに頼りになるけど、キスカの存在が私には大きいから」


「専属料理人には食事を作らせるより、産業としての試作品を任せていると」


「ええ、だから王都から人を呼んで今までのデータを彼に引き継がせるわ」


「確かにオルライト様の無茶に応えてくれてきただけで実績としては充分すぎますね」


「ナチュラルに毒を吐かないで」


領主館の料理人は元々は前の領主に仕えていた人でもある。

その領主が今は療養しているため、オルライトの役に立ってくれと伝えられている。


そしてその前領主曰くオルライトの仕事の成果次第では正式に領主の座を引き継がせるとも。


「前の領主様は元々いい歳だったのよね、お父様に話を持ってきたのもその辺があるのかしら」


「とはいえまさかここまでやっているとは思っていないかもしれませんよ」


「なんにせよスパイスの栽培には成功した、砂糖も上手く行きそうだものね」


「ええ、砂糖の元となる植物も近いうちに成果を報告出来るかと」


「スパイスと砂糖の自家生産が確立されれば料理もお菓子も大革命になるわよ」


ちなみにそうした砂糖や塩の精製は西側の国から機械を導入し一気に効率化されている。

マテリアルハンドの人達も製作は専門外だが、人脈を使いそこから様々な機械を買い付けた。


それが村にも導入され小規模な工場が何件か立ち上がっている。


「砂糖の作り方はその手の関係者から聞いてるし、スパイスも同じくよ」


「元となる植物さえ生産を確立してしまえばあとは話は早いという事ですね」


「今は仕入れるしかない砂糖も村の名産品に出来そうね」


オルライトの本気っぷりはもはや流通や価格すらも破壊していく勢いだ。

だがそれは本来は別の管轄でもある仕事。


根回しの徹底もまたオルライトの強さである。


砂糖とスパイスが村の名産品になる日は三年目にはやってくるだろう。

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