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海賊の投降

海賊に手土産を持たせて帰してからしばらく。

オルライトの下に海賊の頭が交渉にやってきた。

念には念を入れ武器などを持っていないかの身辺チェックはしておく。

その上で海賊の頭と話をする事に。


「待っていたわ、よく来てくれたわね」


「あんたが私達と交渉しようなんていう変わり者の領主様かい」


「ええ、そうよ、とりあえず少し話でもしましょうか」


とりあえず席を用意しそこにお互いに座る。


その上で交渉を始める。


「簡単な事情は聞いているわ、あなた達はかつて異国で売られた人達の集まりね」


「そうだよ、私達には学もなければ大した技術もない、ロクでなしさ」


「学や技術がないと言うのならどうやって生きてきたのかしら」


「そりゃ略奪や襲撃で奪って生きてきたのさ」


「ふーん、そんな人達が長く海賊を続けられるというのは不自然な話ね」


オルライトは相手が学がないと言う事に違和感を示す。

少なくとも長く海賊を続けられるからには相応の航海術などもあるはずだ。


本当に学も技術もないのなら海賊などそもそも出来ないのだから。


「そういえば名前を聞いていなかったわね、オルライトよ」


「…シルヴィラだ」


「ええ、それでシルヴィラは海賊に立ち向かい気に入られ、拾われたと聞いたわ」


「そうだよ、あの時は生きる事に必死だったからね」


「海賊の女になる事を選んだという事は、帰る場所がなかったのは自覚していたのよね」


シルヴィラと一緒に売られてきていた女性達も帰る場所がないのは理解していた。

だからこそシルヴィラに賛同し、海賊の女になる事を選んだ。


その時の待遇は決して悪くなく、寧ろ自分達を恐れなかった事を気に入られたのだという。


「ねえ、よければ村で働いてみない?あなた達の航海術は必ず役に立つわ」


「本気で言ってるのかい?私達は海賊、ならず者だ、それを雇おうっていうのかい」


「村にはかつて盗賊をしてた人達もいる、何かをするのに遅いなんていう事はないのよ」


「そうかい、確かに学はないが航海術や船の技術はある、そんなもんでいいのかい」


「もちろんよ、それが私達に必要なものだもの」


オルライトはそんな航海術や船に関する技術を求めている。

だからこそ海賊達を勧誘しているのだ。


相応の報酬は当然払うからこそ村で働かないかと誘っているのだ。


「村で働くなら報酬は相応に払うわ、嫌かしら」


「…いいだろう、どうせもうすぐ冬だ、なら少しでも食える方がいい」


「それはつまり投降するという事でいいのね?」


「そうだよ、確かに学はないけど航海術や船の技術、銃の知識も多少はあるからね」


「そう、なら歓迎するわ、ようこそ、私達の村へ」


村とは言うものの、発展も進んできている。

もう少し発展が進めば規模としては街と言ってもよくなる。


海賊達の持つ航海術や船の技術は必ず役に立つと踏んでいるのだ。


「それで、実際に船の技術などを持っているのは確かなのよね?」


「その辺は前の頭領から教わってる、ただ学がないのは嘘じゃないよ」


「勉強、文字の読み書きや計算は出来ないという事かしら」


「全く出来ないっていうわけではないよ、ただ少ししか出来ない程度かな」


「なるほど、その辺は村の人達に教わるといいわ、いい先生もいるから」


海賊達は学がないとはいえ、全く出来ないというわけではない。

それでもまともには出来ないので、そこは村で教えていく事となる。


盗賊達はその辺はそれなりに出来ていたが、海賊達はまた事情が違うのだ。


「それにしても意外とあっさりと飲んでくれたのね」


「あんたみたいな変人の領主様の下につくのも悪くなさそうだしね」


「変人なんて失礼ね、私はあくまでも使えるものはなんでも使おうというだけなのに」


「そういうところが変わり者だと思うんだけどねぇ」


「とりあえず部下達を連れてきてね、その上で村を案内するわ」


交渉は意外とあっさりまとまった。

その上でシルヴィラはオルライトの軍門に下る事となった。


海賊達には主に海の方を任せ、その上で海への進出を始める事となる。


「それと、何か分からない事は遠慮なく周りに聞いてくれていいわよ」


「そうだね、(おか)の事は(おか)の連中に教わるさ」


「あなた達の働きにも期待してるわね」


そんなわけで交渉はあっさりとまとまった。

オルライトも変わり者として見られるのも無理はない。


それは貴族としてのしたたかさなのか、器が大きいだけなのか。


なんにせよ海への進出により村はまたさらに発展していく。

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