ピザを焼いてみる
村での産業も安定し始め、外への輸出なども本格化してきた。
それに伴い生産も本格的に忙しくなり始めた。
村から生まれた様々なものが領内からさらに外に広まっていく。
そして三年目の目標は生産の安定と流通の強化になる。
「このピザっていうの美味しいわね、チーズとトマトソースだけなのに」
「酪農もやってるならチーズはあると思ってたしな」
「異世界の料理でもこっちで再現出来るものは何かとやってみるべきね」
どうやらピザを焼いていた様子。
もちろんピザ窯なんてものはないので、普通の窯で焼いているのだが。
「ピザって思ってるより簡単に作れるのね」
「まあ凝ったもんを作ろうとするともう少し面倒になるけどな」
「ここにいろいろ乗せてみるのがいいのよね」
「ああ、パンチェッタとかイカとか、きのことか割となんでもイケるぞ」
「アレンジパターンが多いのもまたいいわね、ここは漁村だし海の幸とか使えそうだわ」
ピザも村発の料理として使えないかどうか考える。
チーズとトマトソースがあればいいというのは割とお手軽ではある。
とはいえやはりピザ窯が欲しくなってしまうものだ。
「チーズの使い方って他に何かないのかしら」
「そうだな、チーズソースにすればいろんな料理に使えるからいいと思うぜ」
「チーズソース、なるほど、そういうのもあるのね」
「チーズってのは熱で溶けるから、熱で溶かしたチーズのレパートリーを増やすべきだろ」
「熱で溶かしたチーズね、ピザとソースの他にも何が出来るかしら」
チーズは熱で溶かして使うもの。
とはいえ冬夕の世界にあるようなプロセスチーズを作るのは難しいか。
クリームチーズなどは作れなくはなさそうではある。
「チーズも工夫次第でいろいろなものに化けるのね」
「そうだな、あたしの世界だと溶かさないで食うプロセスチーズってのもあるんだよ」
「プロセスチーズ?そのまま食べる感じなの?」
「ああ、熱でも溶けにくくて、そのまま食うのに向いてるチーズだな」
「ふーん、面白いのねぇ」
チーズにも様々だが、この世界のチーズはほぼ全てがナチュラルチーズである。
なのでやはり熱して食べる方が美味しいのだ。
ナチュラルチーズはパンに乗せて焼いたりすると美味しいのだが。
「でもパンに乗せて焼いたりするのが美味しいのよね」
「あとは肉や魚にチーズを乗せて焼いたりとかな」
「それだけでいいの?」
「チーズってなかなかに万能でな、ほとんどの料理に合うもんなんだよ」
「へぇ、だとしたら肉料理や魚料理とかも考えてみるべきかしら」
実際チーズは万能なもので、多くの料理に合うものなのである。
それもあり肉や魚にも使えるのは強い。
ダークエルフが作るチーズは元々評判もいいからこそではあるのだ。
「チーズは何にでも合う、それはいろいろ試してみるべきなのかしら」
「そうだな、まずは試作品を作るところからだろ」
「それもそうね、肉や魚でいろいろ試してみるわ」
「でもこの村って本当になんでもやってるんだな」
「村の発展をしていくと人が増えるし、そうなると仕事も必要になってくるもの」
仕事が必要になってくるというのは人が増えるからこそである。
実際すでに移住が完了した村人も多くは村の産業に従事している。
村が大きくなるということは人手が必要になるという事なのでもある。
「とりあえず人が増えるとまずはその生活の保証をしないといけないもの」
「それは村の人達の生活を預かるからこそか」
「ええ、領主代行である以上、食べさせるのもまた仕事だしね」
「ここは田舎の村っぽいし、仕事の斡旋と雇用の確保、あとは産業か」
「今は村から街に変わりつつあるけどね」
村も少しずつ変わっていっている。
それは人が増え産業が生まれた事による発展だ。
約束を守っていてくうちに自然と発展していく事にもなる。
「とりあえずチーズを使ったレシピはいろいろありがとうね」
「ああ、上手くいくといいけどな」
「その辺は材料の確保から進めていくわよ」
「割となんでも作ってるもんな」
「そうそう、プロの教えがあるというのはいいものよ」
そんなピザから始まる新たなチーズ料理。
チーズは平民でも手を出しやすいのが大きい。
チーズ料理を広めるのもまた面白そうだ。
「チーズの可能性はとても大きいわね、次は何を試作してもらおうかしら」
「チーズは割となんでも合うから、よほどでもなけりゃ大体はイケるぜ」
「ええ、村の名産とかとの組み合わせとかもよさそうね」
ピザを作るのはピザ窯がなくても作れるには作れる。
ピザ窯を作るとしたら大工に頼む事になるのか。
オルライトも村で作られる食品の宣伝には余念がない。
どんなものも宣伝するのは大切である。




