新たな施設の提案
季節も移りゆき二年目の秋も近づいてきた。
村の土地は開拓によりかなり広くなり、施設や住居も増えてきている。
そして土地をならしていった事になり舗装も少しずつ完了してきている。
それに伴い村人達からも新たな施設の提案が届いていた。
「うーん、優先順位とかどうしたものかしら」
「この村も変わってきているな、都会っぽくなってきている」
「ミラールもすっかり馴染んでるわよね」
たまに遊びに来るミラール。
魔界の王も意外と暇になる時があるのかもしれない。
「それにしても何からやっていくべきかしら、提案をまとめて出されてもね」
「その提案とはなんなんだ」
「新しい施設の提案よ、観光名所とか得意な人達が運営したい施設とか」
「ふむ、ならばやはりまずは宿や食事処ではないか」
「その辺はもう建設に着手し始めてるわよ、次に何を建てようかという話ね」
村の土地も広くなってきた事で空いた土地にも余裕が出来てきていた。
それによりそうした商業施設なども建てられる余裕が生まれている。
宿や食事処はすでに着手しており、続いては観光地や支部の施設などを考えていた。
「そういえば生産なんかも施設が増えてきてるし、クランの支部を作れないかしら」
「クラン?なんだそれは、お菓子か?」
「分かりやすく言うと職人達の組合の事よ、そこに所属する事で様々なメリットがあるの」
「ほう?つまり職人達をまとめて管理してしまおうという事か」
「ええ、本部は首都にあるんだけど、他の領地に支部がある事は多いのよ」
クランというのは分かりやすく言うと商業組合のようなものだ。
そこに所属する事で様々な恩恵を受けられる。
東の国にあるクランの本部は首都にある、そして各領地にも支部がある。
「ローゼンブルク領地内も支部はあるけど、ここの支部は規模も小さいのよね」
「つまりここの支部を大きくしてしまおうという事か、それもいいのではないか」
「現在の支部長に話は通してあるから、支部の拡大は人が集まれば着手出来そうね」
「それ以外にはどんな提案が来ているのだ」
「温泉とか、キャンプ場、あとはモニュメントとか名物になる木の植樹とかね」
提案も様々で温泉やキャンプ場、観光地としてのモニュメントや植樹などが来ている様子。
木を植えるとすればまず苗木が必要になり育つのに時間もかかる。
キャンプ場はそこそこ広い土地と管理施設が必要になる。
「すでに着手が始まってるもの以外だと、人が集まりそうなものを優先したいものね」
「人が増えてくると治安の悪化やモラルの低下が起こるのは必然だからな」
「そうなのよね、村の住民も5000人超えてきて、治安維持も必要だし」
「人が増えるというのは不届き者も相応に増えるという事だ、領主は大変だな」
「でもそれをなんとかするのも領主の仕事よ」
村人達からまとめて提案が来たというのが今の悩みの種である。
全部は言うまでもなく無理なので、優先順位をつけ可能なものに絞っていく事になる。
何が必要なのかを考える必要も出てくるであろうという事だ。
「ミラールはこの要望書の中から何かこれがいいっていうのはある」
「ふむ、やはりこの武舞台だな、強い奴と語り合いたいぞ」
「ブレないわねぇ、ただ温泉に関しては近いうちに調査報告が来そうなのよ」
「温泉というのは出来そうなのか?」
「温泉が見つかればね」
温泉に関しては以前調査を密かに頼んでいたものの結果がそろそろ届くらしい。
調査が必要なものに関しては出来たとしてもすぐに取りかかる事は出来ない。
それもあり調査などを必要とせずにすぐに取りかかれるものに優先していく事になりそうだ。
「とりあえずはキャンプ場とかお菓子屋、あとは観光名所が優先になるのかしら」
「土地は意外と余裕があるのだろう?」
「ええ、ただ今後も移住者は増えるから、全部は使えないわね」
「なんにせよやるならまとめてやってしまった方がいい、人手があるならな」
「そうね、とりあえずすぐに取りかかれるものには判を押さなきゃ」
まとまった一が一気に届いたというのがオルライトの悩みだった。
提案は嬉しいが、全部は出来ないという事も伝えておく必要がある。
とりあえずすぐに取りかかれるものを絞り込む事にした。
「よしっ、それじゃ選定開始ね」
「村の発展というのは想像以上に大変だな」
「領主の仕事は住民の声を聞く事も必要だからね」
まずはキャンプ場やお菓子屋、あとは宿や食事処を優先する事になる。
すでに着手しているものと新たに許可を出して作るもの。
それらの完成ももちろんすぐにとはいかない。
今回許可を出したものは早くて年末、遅いものは三年目の頭になりそうだ。




