番犬を飼おう
エルネストが来た事で自警団もメキメキと強くなっている様子。
かつて盗賊を軽く捕まえてしまったのもあり飲み込みは早いというのも分かる。
騎士と武人という指導者に恵まれているのも大きいのか。
そんな中エルネストから提案された事をどうしようか考えていた。
「ねえ、フユの世界にも番犬を飼ってる貴族とかいるの?」
「貴族っていう概念はよく分からないけど、ペットを飼ってる人は珍しくないな」
「ふーん、つまりは番犬っていう感じでもないのね」
どうやら番犬を飼おうという話があるらしい。
それはエルネストからの提案で、番犬がいるだけで全然違うのだとか。
「番犬って言ってもどんな犬がいいのかしら」
「アタシの世界だとドーベルマンが番犬としては定番だな」
「そのドーベルマンがどんなものかは知らないけど、そういう番犬向きの犬なのね」
「ああ、ただ犬っていうのは鼻が利くから番犬以外にも向いてるってあるしな」
「なるほど、そういう理由なのね」
冬夕の世界だと番犬としてドーベルマンなどの大型犬を使う事は多い。
それに加え犬は鼻が利くので探しものをするのにも向いている。
ただ他にも防犯の技術は発達した世界なので、番犬も珍しいと感じているのか。
「フユの世界だと番犬って珍しいの?」
「まあ番犬がいなくても防犯の技術が発達してるからな」
「犬がいなくても技術でなんとかしてるって事なのね」
「ああ、まあ空港とかで麻薬探知に犬を使ってたりはするけどな」
「犬の鼻を使ってるっていう事ね」
犬に求めるのは番犬としてよりも探知犬としての役割が大きい。
それもあり昔ほど番犬の需要はなくなっている。
ただこっちの世界ではそうしたものはまだないのである。
「フユの世界では犬に探しものをさせたりしているのね」
「ああ、犬の嗅覚を使った仕事だな」
「でもそれも番犬としての仕事に含まれるんじゃないの」
「探知には役に立つけど、昔に比べて吠えて知らせるみたいな仕事は減った感じだな」
「犬の仕事も入る前に捕まえる事に特化させた感じなのね」
オルライトが求める番犬はそれこそ様々な事に役に立ってくれるタイプの犬だ。
とはいえどんな犬がいいのかは迷うところがある。
なお番犬はブリーダーから購入するのがシステムでもある。
「リストがあるんだけど、フユはどんな犬がいいと思う」
「うーん、アタシはこういうのはよく分からないんだよな」
「やっぱり若い犬の方がいいのかしら」
「個人的には言う事をしっかり聞いてくれるのがいいと思うぜ」
「なるほど」
とりあえずは無闇に吠えないタイプの犬がいいのは言うまでもない。
番犬というのも安いものでもなく、この世界では貴族が飼うのはお約束でもある。
実際オルライトの実家も番犬を飼っているので。
「うーん、値段としてはやっぱり少しでも高いものにすべきかしらね」
「その方がいいだろうな、実物を見て決めるのが本当は一番いいんだろうけど」
「とりあえず今度ブリーダーのところに見せてもらいに行ってくるわ」
「そうしとけ、見ないで買うっていうのはギャンブルのそれに近いしな」
「それもそうね、ギャンブルも大穴狙いより堅実に行く方が最終的に稼げるし」
オルライトも近いうちにブリーダーに会いに行く事にした。
冬夕も番犬についてはそこまで詳しくもない。
なので条件に合うものを選ぶ事になる。
「でもフユの世界は番犬の使い方も変わっているのね」
「吠えて知らせたりしなくても防犯は出来てるからな」
「とはいえ犬を飼う文化はあるのよね」
「ああ、まあペットは基本的に愛玩動物が多いな、番犬みたいなのは今は少ないよ」
「なるほど、番犬って言うよりはパートナーなのね」
冬夕の世界においてペットというのは基本的にはパートナーである。
番犬がいなくても防犯が成立しているからこそだ。
そうした技術の発展はあっても犬の嗅覚は今でも頼りにされているが。
「番犬がいるにしても、番犬のための小屋とかも作らないといけないわね」
「それに一匹だけじゃ村をカバーするのは難しいだろ」
「ええ、だから少なくとも複数頭の番犬を買う事にはなるわね」
「番犬ってそれこそきちんと吠えてくれないと始まらないしな」
「そういう教育も必要よね、ブリーダーもセットで雇おうかしら」
番犬のためのブリーダーもセットで雇おうかと考える。
村の住人に知り合いがいればそれを頼ってもいい。
とりあえず予算は多めに見積もっておく事にした。
「番犬もどんな犬がいいのか迷うものね」
「きちんと吠えてくれないと意味ないからな」
「教育も必要になってくるからこそよね」
そんな番犬購入の悩みが増えた様子。
とりあえず見てから決める事にした。
知り合いがいるならそこを頼っていくのもいいだろう。
番犬のためのブリーダーを雇う事も予算に含める事にした。




