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聖宮騎士団の都

村の守りを固めるべく準備を進めるオルライト。

それに必要な人材を確保すべくパラストブルク領へとやってきている。

交渉すべきは堅牢な騎士団としても知られる聖宮騎士団だ。

人材を借りられないかどうかの交渉をする事に。


「ここがパラストブルク領なのね」


「そして最大都市のアンスタビリッチスタンド、規模も大きそうね」


「とりあえず聖宮騎士団と交渉に行かないと」


そのまま馬車に乗り込み聖宮騎士団の本部に向かう。


本部があるのは街の中心部だ。


「失礼します」


「ようこそ、あなたが文をくれたオルライト殿だね」


「はい、それで」


「我々の力を借りたいという事だろう、君の村の守りを固めるために」


「はい、そうです」


そこにいたのは聖宮騎士団の騎士団長。

凛とした振る舞いに隙のない立ち振舞。


そして街の中にも多くの団員が確認出来た。


「それで、村の守りを固めるべく人を借りたいのですけど」


「そうだね、その村への驚異がすぐそこに迫っているという事でいいかな?」


「すぐそこに…とは言いにくいです、村の自警団でも盗賊ぐらいは捕らえられますから」


「ふむ、だとしたらすでに実力はそれなりにあるという事だね」


「一応今はガウル殿に鍛えてもらっています、ですが限界が見えていて」


その名前を聞いて騎士団長は意外そうな顔をする。

ガウルの事は存じているようである。


すぐそこに脅威があるとも言いにくく、いつ来るかが分からないというだけでもある。


「ガウル殿の事をご存知なんですか?」


「彼の武勇伝は我々も聞いているよ、しかしまさか人に教えているとはね」


「意外そうですね」


「いや、彼も人に教えられる程度には変わったという事だろう、さて、改めて話を聞こうか」


「はい、人を借りられればいいのですが…」


オルライトも人を借りられるのが一番手っ取り早いという。

ただ盗賊ぐらいは簡単に捕らえられる強さがある自警団。


そしてガウルに教わっているという事を踏まえれば、村人を鍛える時間はあると踏む。


「人を貸していただく事は出来るでしょうか」


「すでにそれなりの強さがあるようだからね、それなら自警団をさらに鍛えるべきだね」


「さらに鍛える、ですか?」


「ああ、少なくともその強さがあるなら短期間で一気に仕上がると思うよ」


「つまり人を貸すより人を鍛えるべき、そういう判断なんですね」


騎士団長は入り口の兵士にある人を呼んでくるように指示を出す。

それから少ししていい感じにダンディなおじ様がやってくる。


騎士団長に彼を紹介してもらう事に。


「えっと、こちらの方は?」


「彼の名はエルネスト、この騎士団の中隊長をしている者だ」


「えっと、オルライトと申します」


「はじめまして、お嬢様、エルネストと申します」


「彼を貸してくれるという事でいいのですか?」


騎士団長曰く、エルネストは実力もさる事ながら若手の育成に定評があるという。

とはいえ若くはない年齢という事もあり、後進に道を譲るべく先日辞表を出したとか。


そのタイミングでオルライトからの連絡が来たのだという。


「つまり騎士団を退団、引退するので好きに使ってくれていいという事ですか?」


「ああ、彼も引き際は分かっているようだしね」


「なら彼をお借りします、騎士団は引退しても指導は出来ると思ってますから」


「ははっ、いいね、ならばこのエルネスト、お嬢様のために身を捧げましょう」


「はい、よろしくお願いします」


意外と軽いようで真面目なようなよく分からない性格のエルネスト。

とはいえ騎士団にいたという事もあり、根は真面目で真摯なおじ様なのだろう。


また騎士団は身なりは特に厳しくないのか、そのひげがダンディズムを感じさせる。


「では交渉はこれでまとまったという事ですか、お金が必要かと思って来たのですが」


「そうだね、人を貸すならそれなりの金額を要求したが、今回は一人分の金額でいいよ」


「分かりました、ではせめてもの誠意としてこちらに好きな金額を書いてください」


「何も書いてない小切手とは流石は貴族のお嬢様、まあ法外な金額はふっかけられないよな」


「その金額を出させていただくので、お好きにどうぞ」


その小切手に書いたのは1だった。

つまり無償というのは法律違反になるので、最低金額の1を書いたという事だ。


オルライトもそれに驚いたものの、それを了承しエルネストを借り受ける事となった。


「ではエルネストは君の好きに使ってあげてくれ」


「はい、本当に感謝します」


「帰る前に美味い飯でも食って行こうぜ、いい店紹介してやるよ」


そうして交渉は引退しようとしていた中隊長のエルネストを借りる事でまとまった。

エルネストもプライベートは割と気さくなおじ様のように思える。


その一方で棋士としてもその真摯で誠実な姿が窺える。


エルネストの指導により自警団はさらに強くなる。

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