移住者を募る
村の開拓に本格的に着手し始めたオルライト。
まずは領主館の前にある土地をある程度使っていく事にした。
村の人と各自のリーダーに指示を出し土地の利用が始まる。
その一方で移住者も募り条件の金額に届くための税金の計算も始まる。
「というわけなのだけど」
「移住者の募集ですか、そのためには居住可能な土地や家が必要ですよ」
「今村にある土地や家だけじゃ辛いわよね、シェアしても限界はあるし」
バルカにもそれを相談した上で住めるだけの家や土地の確保を考える。
とはいえそのためにはまず土地を広げていかないといけないのもある。
「うーん、今から増やしていくと村の大工を動員してどの程度かかる?」
「そうですね、マグルさんに指揮を執ってもらえば三ヶ月ってとこです」
「ならまずはそれだけの家と土地の開拓を頼めるかしら、その間に人を集めるから」
「分かりました、作業は出来るだけ急がせても三ヶ月、完成した家から開放します」
「了解よ、それと発展に必要な産業を作れる人も探してくるわね」
まずは土地を開拓し、その上で家を建てさらに人も募る。
家が完成するタイミングに合わせて人が来られるように調整もする。
とはいえ今のままでは災害に強い建物を作るのが難しい問題が出てくる。
「そういえば今の村にある家の建材はどこから仕入れてるの?」
「ヘクセンハウスのとこからです、あそこしか頼れませんしね」
「ヘクセンハウス、そうだ、まずは工房を作ってくれない」
「工房ですか?」
「ええ、そこで村の発展に必要な建材や畑の肥料なんかを作らせるの」
つまりまずは発展に必要な道具を作れる環境から構築する。
その上で道具を量産すればいい家が作れたり、作物を育てられたりする。
工房で働いてくれる人をテュアヴァッサの研究所から引き抜く事を計画する。
「工房建設と並行して土地の拡大を頼んでもいいかしら」
「構いませんよ、そっちは自分が指揮を執りますから」
「分かったわ、工房の建設はマグルに依頼しておくわね」
「ええ、工房ぐらいなら村にあるものを使えば二週間程度で建つと思います」
「了解、さて、まず人集めのプランを立てなきゃ」
とりあえずプランを立てるべく領主館に戻る。
するとそこにキスカから客が来ていると告げられる。
その客が誰なのか気になりつつ、客間へと向かう。
「やあ、オルライト、待っていたよ」
「あなたベル!?なんでこんなところまで来てるのよ!?」
「君が父君に啖呵を切ってここで領主代行を始めたと聞いてね、少し見に来たんだ」
「冷やかしならお断りなんだけど、それとも力になってくれるっていうのかしら?」
「元々そのつもりで来たんだけどね、嫌かな」
どうやらベルは最初から協力するつもりで来たのだという。
そんなベルは魔法科学の研究者で道具作りに長けている。
願ってもいない助っ人が向こうから来たという事にオルライトは協力を依頼する。
「嫌なんて事はないわ、あなたがいてくれればそれだけで凄く助かるもの」
「そう言ってくれると嬉しいね、なら幼馴染のよしみでなんでもしてあげるよ」
「そうだ、ならあなたのいた研究所から人を連れてきて、その上で道具作りを頼めるかしら」
「つまり研究者を引き抜いて僕の指揮下で道具を量産してくれって事か、了解だよ」
「ええ、とりあえず工房を素早く回せるだけの人数を頼むわね」
工房を出来るだけ早く回せる人数を要求するオルライト。
土地も少しずつ開拓されていく事を想定すると、供給が間に合うだけが必要になる。
その一方で発展に必要な開拓や建築に回せる人について聞いてみる。
「そうだ、大工とか土地の調査について詳しい人って知らない」
「そうだね、大工ならロスカスタニエにいい大工の集団がいるよ」
「ロスカスタニエ、ローゼンブルクの北西ね」
「あと土地の調査なら研究所に人を集めに行くついでに連れてきてあげるよ」
「いいの?ならそれも頼むわ」
ベルの協力を得られた事でまずは建設やそれに必要な道具の供給の目処が立った。
大工に関しては必要な事をまとめ上げた上でロスカスタニエに交渉に出向く事に。
他にも産業になりそうなものを何かと考えなければならない。
「それじゃ工房で働ける研究者を頼むわね」
「うん、往復で二日かかるから、それじゃ人を確保したらまた戻ってくるね」
「住民、仕事をしてくれる人、それを募るものも作らないといけないわね」
移住者募集と労働者の募集。
それには他の領から人を引き抜く事も計画しなければならない。
まずはロスカスタニエに出向き大工をスカウトする。
近隣の領の産業とそれに従事する人達も調べる事となる。