揉め事も増えて
人の移住も増えてきて同時に揉め事も増えつつある今の村。
そんな揉め事や不満に関しては陳情書という形で処理していく。
もちろん全てを解決する事が出来るわけではない。
ただ出来る限りはしていかねばならない。
「村の方も人が増えると揉め事が増えるものよねぇ」
「それは仕方がないですよ、そうした不満は出来るだけ聞かねばなりません」
「そうね、とりあえず村の様子でも見に行ってくるわ」
今は冬なので何かとする必要もある。
寒さ対策などはしているものの、やはり一筋縄ではいかないようで。
「バルカ、村人達の様子はどうかしら」
「人が増えると揉め事が増えるのは世の常ですね、まあ刃傷沙汰がないだけいいかと」
「そう、あと道具屋とか薬屋なんかはきちんと稼働してるわね」
「その辺は問題ないですよ、この時期はその辺は需要も増えますから」
「ならいいわ、あと新たに開拓した土地に家や施設を建てていかないと」
土地の開拓も順調に進んでいるので、施設や住居の新造もその流れで進めていく。
今の目標は食事処や酒場、他にも観光名所などの建造になる。
そのための土地の確保も進めていく必要もある。
「そういえば新しい料理とかの評判はどうかしら」
「なかなかにいいですよ、フユさんには何かと助けられてますね」
「作れるものはなんでも作るつもりだし、それが有効に使えるならいいものよ」
「エルフの人達もドワーフの人達もそれぞれの名物とかがありますからね」
「ええ、種族特有の料理とかそういうのも売り出していければいいけど」
酒を使ったドワーフの料理、野菜や穀物を使ったエルフの料理。
そうしたものは上手く活用すれば名物にもしていけるかもしれない。
物は考え方次第という事でもある。
「ねえ、揉め事が増えたとしてやっぱり村の内部を巡回する組織とか必要かしら」
「そうですねぇ、外部からの驚異もありますが内部の揉め事も放置は出来ませんし」
「その辺は年が明けてから以前言ってた騎士団とかに交渉に行くべきかしらね」
「それがいいかと思いますよ、そうすれば内部に割ける人員も増やせますしね」
「とりあえず警備を増強して、内部の揉め事にも人を少し割いていかないとね」
そんな内部に割ける人を増やす事も当面の課題だ。
新たに増えた住民達にもそうした仕事に志願してくれる人を募る。
あとは人々に訓練や稽古をつけてくれる人も必要になる。
「ガウル、少しいいかしら」
「おう、領主様、俺なんかになんか用か」
「最近は人も増えたから揉め事も増えてるのは知ってるわよね」
「ああ、その辺は移住だからこその問題って感じだな」
「そこでなんだけど今度村の内部を巡回する組織を立ち上げる事を考えてるのよ」
オルライトが考えているのは村の内部を見回る組織の創設。
人が増えればそれだけ揉め事や騒動も増えていく。
それらをなんとかする組織が必要になるのもまた必然なのだ。
「それであなたにその組織の人達を鍛えて欲しいのよ」
「つまり俺にその組織の奴らを強くしてくれってか?人に教えた経験はそんなにないぞ?」
「そこは別にいいわ、ただ人に教える時は相手が素人だという事を忘れずにね」
「分かった、やるだけやってみる、んでその組織はいつ頃出来るんだ」
「人の志願自体はもう募ってるわ、年明けには創設するつもりよ」
オルライトが予定しているのは年明け。
二年目に突入した時点で様々な事を一気に動かす予定だという。
外部からの驚異に対しては以前話に聞いた聖宮騎士団と交渉する事になる。
「それでなんだけど、実際に人に教えた経験はどの程度なの」
「昔は国の若輩に教えてた事がある程度だな」
「ふーん、それならそこまでの問題はなさそうかしら」
「とはいえ俺も教えるのが上手いってわけでもないぞ」
「あくまでも強くしてくれればいいのよ、達人に鍛えろとは言わないもの」
オルライトが求めているのは村を守れるだけの強い組織。
何も達人に育て上げろと言っているわけではない。
その辺はガウルに任せても問題はないだろうとの判断だ。
「とりあえず村の内部の見回りは強化するから、その時は任せるわよ」
「ああ、出来る限りはやらせてもらうさ」
「あとは装備が必要ね、その辺はドワーフに依頼しておかなきゃ」
「いい装備があるっていうのは大切だからな」
「それじゃまたいろいろまとめなきゃね」
村の人が増えるというのはそういう事でもある。
揉め事や騒動が増える以上ルールを守って生活するという事も大切になる。
今のままでは限界でもあるという事だ。
「とりあえず新たな組織の創設とかも必要になるわね」
「内外に目を光らせないといけませんからね」
「ええ、年明けにいろいろやるわよ」
村の内部の治安の事も考える。
外から攻め入ってくる盗賊などの対策もまた必要だ。
新たに増えた住民達にもそうした自警組織に志願してくれる者を募る。
人が増えるという事の意味を考える必要もある。




