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金属を使った新たな注文

冬もすぐそこまで迫り寒さが始まった感じの季節。

海沿いも漁に出る頻度は減り保存食作りに入っている。

この辺は海風の影響もあり、領内では寒い方の地域でもある。

防寒対策としてダークエルフの作る魔法の道具で室内は暖かく出来るのだ。


「うーん、どうしたものかしら」


「オルライト様、フユ様との共同作業で何かと考えていますね」


「フユの世界にあるものでこっちの世界で再現出来そうなものをね」


オルライトが冬夕の世界のものを取り入れようと何かと画策する。


とはいえもちろん出来ないものは出来ないので、出来るものだけをリストアップする。


「この村はそれこそ産業の街に発展させるぐらいの気概だもの」


「街レベルへの発展となると道の舗装や、建物の鉄筋化などが必要になりますよ」


「鉄筋化はベルに頼んでる建材の量産が出来るようになれば解決ね」


「道の舗装となるとやはり石でも敷き詰めますか?」


「石よりもブロックの石材かしらね、石材を敷き詰めた舗装なら平らに出来るし」


オルライトが父親の条件をクリアするにはその程度の発展は最低条件だ。

住民を10000人収容出来るだけの街にしなくてはいけない。


また税金の方でクリアするのならそれだけ村から利益を生まなければならない。


「フユの世界にはアスファルトとかコンクリートっていう技術があるらしいのよ」


「それは再現出来るのなら一種の革新技術ですよね?」


「話を聞く限りではまずセメントっていうものを作ってそこからさらに混ぜるのだとか」


「セメントですか、この世界の都市の舗装された道は基本的に石タイルですよね」


「ええ、フユの世界のアスファルトとかコンクリートの再現って出来ないかしら」


その辺は材料次第な話ではある。

とはいえ今はそれは保留になる。


あくまでも再現可能な事が確定したものを取り入れるのだ。


「とりあえずその辺は出来るものと出来ないものに仕分けしないとね」


「そうですね、あくまでも可能なものに限定するのならいいのではないかと」


「再現可能なものなら既存の技術や物の新しい使い方で誤魔化せるもの」


「その辺は結構悪知恵が働きますよね、貴族なのに」


「あのねぇ、まあいいわ、とりあえず村の様子を見てくるから」


とりあえず出来そうなものを徹底的に絞り込む。

出来るものならば既存のものの新たな使い道という事で誤魔化せると踏んでいる。


そんな中村の様子を見ている中でドワーフから相談を持ちかけられる。


「あら、何かあったのかしら」


「あ、オルライトさん、実はヴィクトリエルの方から相談を受けまして」


「ヴィクトリエルから?ボタンの制作でも頼まれたの?」


「いや、実は食器、要するにフォークやスプーンを作れないかと相談されてね」


「フォークやスプーン、確かにその辺は金属の扱いに優れるドワーフの世界よね」


この世界では食器類はモノによって作る人が違う。

皿などは主に工芸を得意とするエルフが、フォークなどは金属加工の得意なドワーフが作る。


なのでヴィクトリエルからの注文はエルフにも行っていると思われる。


「それで作るのかしら」


「一応作るつもりではあります、その手のものは細工品でもありますし」


「でも平民とかが使うのは鉄製で、高級なものは銀製よね」


「ええ、幸い必要な金属の調達には困らないので手が空いた人に頼む事になりますが」


「そう、ならそれもいっそ産業として取り入れてみようかしら」


ヴィクトリエルからの食器の注文は贅沢的な理由ではなく、長く使えるものが欲しいとの理由。

なのでドワーフにそうした注文をしたのだと思われる。


安定して長く使える食器があれば確かに何かと便利にはなる。


「そういえばフユの世界には子供向けのキャラクターの食器があるって言ってたわね」


「キャラクターですか?」


「ええ、子供向けのそういうブランドがあってうさぎとかが柄に付いてるんですって」


「ふむ…面白そうですね、注文を片付けたあとにそういうのも試してみますか」


「あら、意外とやる気なのね」


そういうものに挑戦してみるのも職人のプライドなのかもしれない。

出来そうなものはなんでも挑戦する、それは職人の魂に火をつけたのか。


冬夕の持ち込むものを取り入れても出来ないものはスッパリ諦めるのも仕事だ。


「食器の件はとりあえず要望として持ち帰るわね」


「そうしてくれると助かるよ」


「ええ、まだ何か出来そうなものがあるか考えないとね」


新たな産業として食器についても考える事となった。

ドワーフに来た食器の注文は金属の新たな使い道になるか。


その一方で皿なども考える必要がある。


エルフにもそれについて後日確認を取る事にした。

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