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村の食材を使ったあれこれ

冬が近づきつつある村は冬支度も始まっている。

その一方で使えそうな土地は順次予算を投入し開拓の準備を進める。

とはいえ今年中に出来る事を終わらせるだけにすぎない。

そんな中冬夕との約束で産業に出来そうなあれこれを考えていた。


「レシピってこれでいいの?」


「ああ、言葉は不思議と通じるけど文字は書けないからな」


「とりあえずこれを作ってみましょうか、キスカと村のおばちゃん達を動員したわ」


キスカと村のおばちゃん達に協力を仰いだというオルライト。


領主館の厨房は広く設備も充実しているので、この手の仕事には最適だ。


「それにしても情報を持ち込めないなら覚えて持ち込むとは考えたわね」


「物理的な持ち込みが出来ないなら頭に叩き込むしかないしな」


「フユってもしかして頭がいい人だったりするの?」


「学校だと成績は学校全体の260位ぐらいだな、まあ記憶するだけならそうでもねぇさ」


「ふーん、とりあえずレシピを渡してくるから出来るまで待ってましょうか」


オルライトが冬夕から聞いて書き写したレシピを厨房のキスカ達に渡しに行く。

それを渡したオルライトが戻ってきてあとは試作品の完成を待つだけだ。


冬夕の世界に比べれば文明のレベルは大きく違うので、出来そうなものを覚えてきたという。


「でもあの売り物にならない魚を使ったレシピなんて、冬夕は凄いのね」


「アタシの世界でも似たようなものがあるんだよ、使ってる魚も似ててさ」


「魚だけじゃなく肉とか野菜のレシピも持ってきてくれてなおさら助かってるわ」


「産業で肉や野菜を使ったものって考えると、簡単に作れた方がいいだろ」


「そうね、魚は私が村に来る前からあった貴重な産業だったから」


元々この村は海沿い、つまり沿岸沿いにある村なのだ。

そのため魚は元々ある産業であり、村でよく食べられていた。


そんな中での相談でもあったのだ。


「ただ冬夕の世界って私達の世界に比べるとずっと発展してるんでしょ」


「発展はしてるけど、それが絶対的に正しいかはこの世界を見てるとよく分かんねぇな」


「その世界の行き来に使ってるすまほっていうのも文明の利器なのよね?」


「ああ、アタシの世界だと電気がないとまともに生活が出来ない世界だからな」


「電気、こっちにもそういうのはあるけど、完全に電気が命綱な世界なのね」


こっちの世界は機械やそれに準ずるものはある。

ただそれでも電気に対して完全な依存状態というわけでもない。


冬夕の世界に比べれば時代的に100年程度の隔たりのある感じだ。


「オルライト様、頼まれていたものが一通り完成しました」


「あ、待っていたわ」


「フユ様、レシピの通りに作ったのですが、これで問題はないでしょうか」


「うん、大体は問題ないな」


「では試食をしていただけますか、その上でオルライト様に判断を仰ぎます」


そんなわけで試作品として出てきた冬夕の持ち込んだレシピの料理を食べてみる。

作ったのは高級料理という感じのものではない。


魚肉ソーセージやハンバーガー、野菜のサンドイッチなどが並ぶ。


「…うん、美味しいわね、パンに肉とチーズを挟んだだけのシンプルさなのに」


「ハンバーグもいい感じだな、魚肉ソーセージもしっかりと出来てる」


「野菜のサンドイッチはビネガーで味付けをしてあるの?」


「いや、ドレッシングだな、野菜に焼いた鶏肉、そこに野菜に使うドレッシングだよ」


「ドレッシングは元々あるけど、この味ははじめてだわ」


魚肉ソーセージはすり身にした魚がしっかりと結着されていて特に問題はなさそう。

ハンバーガーも使い道が少ない屑肉をミンチにして作った様子。


ハンバーガーとサンドイッチのパンもレシピ通りに作った白パンだ。


「他にもこれは油で揚げた肉かしら」


「ああ、鶏肉に下味をつけて油で揚げてあるんだ」


「揚げ物って言うのよね?こっちだとあまり聞かないわ、他国ではあるらしいけど」


「それに加えてフィッシュフライとかもいい感じだな」


「フユの世界で言うじゃがいもでこっちだとエルフダイチイモを揚げて塩をまぶしたものね」


唐揚げやフィッシュフライ、フライドポテトなども作れる様子。

他にも野菜スティックやそれにつけるマヨネーズなんかも作らせた様子。


味は特に問題なく、人手さえ確保出来れば食事処などでの提供は出来るようになりそうだと。


「それでどうでしたか」


「特に問題はないわね、食事処なんかも建てる計画があるからそこで提供出来るわ」


「かしこまりました、ではこれらのレシピは書き写しを増やしもう何度か試作してみます」


「ええ、その上で食事処での提供を目指していくわ」


「かしこまりました、ではそのように伝えておきます」


とりあえずの合格は出た様子。

あとは味が安定して出せるようになる事。


そこまで行ければ食事処の建設にも本格的に取り組める。


「そうだ、今度は何か甘いもののレシピを覚えてきてよ、もちろんこっちで出来そうなものね」


「甘いものなぁ、砂糖がどの程度希少かにもよるから、砂糖の相場を教えろ」


「砂糖の相場ね、とりあえず教えるからその上でお願いね」


今度は甘いもののレシピを頼まれた冬夕。

砂糖の相場を聞いた上で作れそうなものを考える。


そんな冬夕はこっちの世界の夕暮れ頃には元の世界に送還されていった。


世界の文明や物の価値の違いを考慮した上での相談をする辺りもオルライトである。

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