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要望と信仰心

一年もだいぶ流れ秋に入ろうとしている頃。

住民の移住も少しずつ増えてきて3000人に達しようとしていた。

乾かした湿地は特に問題なく活用出来るとの報告を受けている。

また特別何かが必要とならない土地も少しずつ開拓していっている。


「オルライト様、このような要望が届いています」


「えっと、教会の建設を希望…そういえばこの国だと信徒は結構多かったわね」


「ええ、大都市はもちろん小さな村でも小規模な教会はまずありますので」


それはこの国で主に信仰されている地母神への祈りを捧げる教会だ。


村の外れにある伝承にもなっている大樹とも密接な関係がある。


「とはいえ教会ね、建てられるとは思うけど土地が割と広く必要になるわ」


「その辺は使える土地が広くなってきているので問題はないかと」


「そうね、あとは建築にかけられる予算ね、規模にもよるけど500万ってところかしら」


「その辺りは私財から出しますか?それとも村の方の予算から出しますか?」


「お父様からの条件をクリアするなら予算からの方がいいわね、そっちでやるわ」


教会建設の予算は村の予算から出す事となった。

今村にいる大工の賃金や建材に出せる予算、他にも経費などが様々必要になる。


500万はあくまでも賃金などを抜いた費用である。


「とりあえず使えそうな土地を聞いておくわ」


「かしこまりました、それが決まり次第マグル殿と大工達に伝えておきます」


「ええ、研究なども並行して進めないといけないから猫の手も借りたいわよ」


「猫の手では役に立たないかと思うので、分身でも出来た方が合理的かと」


「そういう意味じゃ…とりあえず見てくるから」


そんな感じで教会の建設に使えそうな土地を探しに行く。

地質管理局の手の空いている方に話を通す。


その上で教会を建てられそうな土地を調べてもらう。


「というわけなの」


「教会を建てられそうな土地ですか、住居や施設の数とも照合しないと」


「どこかある?」


「乾いた湿地はまだ使える土地は少ないですし、村の西側の地区なら大丈夫かと」


「西側の地区ね、ありがとう」


そんな西側の地区の様子を見に行く。

そこにはどうやらまた飛ばされてきた冬夕が試作品のお菓子を食べていた。


とりあえず声をかけてみる事に。


「あなた、適応力が高いわねぇ」


「お、オルライトじゃねぇか、相変わらず自分で見てるのか」


「ええ、教会を建てられそうな土地があるか確認に来たんだけど」


「教会?宗教か?」


「ええ、移住してきた住民にも敬虔な信徒がいるのよ」


その話に冬夕は少し考えて一つ提案を出す。

それは神棚でも作った方が早くないかという提案。


オルライトはよく分かっていないようだが。


「カミダナ?ってなんなの?」


「分かりやすく言うと家の中の出来れば高くて清浄な場所に小さな木製の神社を作るんだ」


「ええ、つまり家の中に神様に祈るためのスペースを作るみたいな感じ?」


「ああ、そこに必要なものを置いてそれで家で神に祈るみたいな感じのものなんだけど」


「でもそれってフユの世界における神様の文化でしょ?」


とはいえそれはあくまでも冬夕の世界の文化である。

この世界でそれを作ったとして上手くいくものなのか。


宗教や信仰心的な文化の違いは言うまでもなくある。


「とはいえカミダナね、それが上手くいくのならいいんだけど」


「そういやその宗教って一神教か?だとしたら神棚は向かないかもな」


「ええ、この世界にも伝承の神様は複数いるけど信仰は種族とかで違うし」


「なるほどな、ならやめといた方がいいかもな、余計なお節介だったな」


「ただ神様に対する考え方なのかしら、家に神に祈る場所があるっていうのは」


地母神は主に人間が信仰する神であり、エルフの場合は森の神を信仰していたりする。

ドワーフは地母神とはまた別の大地の神を信仰しているのだ。


大工の人達は完成した建物に安全祈願として祈祷をする文化があったりするのだ。


「教会を建てるのはいいけど、経験な信徒はともかく教徒の数も把握しないとね」


「それって別に国民全員が信仰しなきゃいけないっていう決まりはないんだろ?」


「ないわよ、ただ規模が大きいから信徒や教徒も多いってだけでね」


「ならその地母神の教会以外にも少ない方の事も考えてやった方がいいぜ」


「数の問題でしかないけど、今の村はそういう信仰も多様化しているものねぇ」


とりあえず住民としては圧倒的に人間が多い以上教会を立てる必要がある。

ただそんな人間にも地母神以外を信仰する人は当然いる。


今の住民にそれを回答してもらい、新たな住民にそれの回答を義務付ける事になる。


「とりあえず土地は確保出来そうだからそこに教会を建てるわよ」


「かしこまりました、それと他の信仰への対応もさせます」


「ええ、頼むわよ」


そんな教会以外にも他の信仰への対応も考えていく事に。

冬夕が言っていた神棚は面白い発想だとは思うがこの世界では向かないだろう。


基本的に信仰こそ多様ではあるが、その信仰する神は基本的にどこも一神教だからだ。


そんな冬夕は美味しいものを食べ終えたら元の世界に帰っていったようだ。

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