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虫除けの大切さ

夏の暑さも少しだけ落ち着いてきた季節。

ここから秋の収穫に向けて様々な動きがある。

とはいえオルライトの任期が終わるのもまた秋である。

正式に領主になる決意は固めているため、あとは認められるかどうかだ。


「エルフの作る作物ってどれも美味しいから凄いわよね」


「そうですね、野菜や穀物はエルフの得意とする分野ですから」


「動物性のものが食べられないから自然とそうなった感じなのかしらね」


そんなエルフの作る作物ではあるが、やはり必ず上手くいくわけでもないという。


なので美味しく作るためにあれこれしているようで。


「でも農作物って虫とかに食われたりしないのかしら」


「虫食い対策はしていますよ、虫が嫌う臭いを作物につけてるんです」


「へぇ、そんな事をしていたのね」


「ええ、なので虫はそこまで天敵ではなく、天敵は病気の方ですね」


「なるほどねぇ、農作物を長年育ててるとそういうのもあって当然よね」


エルフ曰く虫対策はほぼ出来ているということらしい。

寧ろ天敵は病気の方で、その病気との戦いは今も続いているという。


農作物の病気はどんなに対策をしてもかかる時はかかるらしい。


「でも虫除けってそれこそ農薬のイメージだけど、エルフはそうでもないのかしら」


「エルフは人間の作る農薬は使わないですね、独自の虫除けがあるので」


「そもそも人間の作る農薬自体使わなくても育てられるって事なのね」


「はい、それにオーガニックというわけでもないですからね」


「あくまでも独自の虫除けを使っているから無農薬ではないというわけなのね」


エルフが農作物に使うのは虫が嫌う臭いを発する独自の薬品。

人間にとっては無害なものだが、虫にとっては極めて有害な臭いを発するという。


それによりエルフの作る農作物に虫はほぼ寄り付かないという。


「でも虫はなんとか出来ても病気への対策が難しいのは人間と変わらないのね」


「そうですね、病気というのは対策をしてもかかる時はかかりますから」


「それもそうね、病気って結局は本人が耐性を持ってるかどうかだし」


「農作物もそんな病気への耐性がないからかかるわけですからね」


「そういう意味ではなる時はなるっていう事でしかないのね」


農作物の病気はそれこそなる時はなるものでしかない。

エルフも農作物が病気でやられた経験は過去に何度もあった。


その辺は経験からなんとかしてきたという事でしかないのだろう。


「エルフは長生きするからこそそういう知識が蓄積されていくのかしらね」


「ただ長生きだからこそ知識の継承が上手く行きにくいところはあるんですよ」


「つまり長生きだと書物に残したりする習慣が育ちにくいっていう事なのね」


「ええ、それもあって1000年ぐらい前からは書物に残す事を義務付けたんです」


「それでも1000年前っていうのは凄い話ね」


エルフ達も技術や知識の断絶が起きないようにするために、書物に残す事にしたという。

それでもそれを始めたのが1000年前というから驚きだ。


長命な種族であるエルフ特有の感覚という事なのかもしれない。


「でもエルフ独自の虫除けがある辺り、エルフにも発明という概念はあるのね」


「ええ、料理のレシピなんかも野菜を美味しく食べる方法などがメインですから」


「菜食だからこそ野菜を美味しく食べる方法を考えてレシピにしてきたのね」


「そうですね、だから人間か食べている野菜料理はエルフが考えたものも多いですよ」


「へぇ、だとしたらエルフは野菜に関しては貢献も大きいのね」


人間が食べている野菜料理はエルフが考案したものも多いという事実。

なのでエルフは人間の野菜の消費にも大きく貢献しているのだろう。


動物性の食材を使わずに野菜を美味しく食べる、それはエルフの知恵なのだと。


「私も野菜はそこまで好きじゃないけど、料理してあると意外と美味しいって感じるしね」


「オルライト様は生野菜が苦手なのでは?」


「たぶんそうなんだと思うわね」


「火を通してある野菜とかは普通に好きという事でいいんですか?」


「野菜炒めとかは普通に好きだし、野菜のスープとかも嫌いじゃないしね」


オルライトは生野菜を苦手としているようではある。

火を通してある野菜料理は普通に好きなものも多い。


豆が苦手なのに加え生野菜が苦手なのがオルライトの好みのようだ。


「でもエルフの農業も様々な知恵からやっているものなのね」


「はい、エルフの虫除けは効果も抜群ですからね」


「それだけ聞くっていうのは長生きしてるからこその知恵なのかしらね」


エルフの作る虫除けはそれだけ効く。

長く生きてきたからこその知恵なのだとオルライトは感じ取った。


知識の断絶が過去に何度も起きてきたのもまた長命な種族故なのか。


記録して残しておく事の大切さもまた感じていた。

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