乳製品いろいろ
すっかり夏本番の村には夏の日差しが照りつける。
その一方でオルライトの任期の終わりも確実に近づいてきている。
村に招いた人達の事も考えれば、正式に領主になるのが一番だろう。
この先も領主になる覚悟はとっくに決めている。
「ダークエルフがやってる酪農もいろいろ作れるから便利よね」
「これはオルライト様、ええ、乳製品は栄養価も優秀ですからね」
「ダークエルフの育てる牛の乳は濃厚で実にいいわよね」
オルライトも気に入っているダークエルフの育てる牛の乳。
それは濃厚でスッキリしているという。
「何か特別な飼育方法とかあるのかしら」
「そこについては秘密ですが、餌に秘密があるのは確かですね」
「ふーん、餌に秘密があるのね、分かりやすくていいわ」
「それにしてもオルライト様、乳製品がお好きですよね?」
「ええ、好きね、特に朝に飲む冷たい牛乳は何よりも美味しいわ」
オルライト曰く朝に飲む冷えた牛乳は何よりも美味しいという。
とはいえ夏の暑い季節は牛乳も痛みやすいのが気になるとか。
夏は食材の痛みやすい季節だからこそだ。
「でもダークエルフの育ててる牛の乳ってなんでこんな濃厚なのかしら」
「そこはさっき言った通りに餌の話ですね」
「そういえば冬夕が牛乳でアイスを作ると美味しいって言ってたわね」
「牛乳で作るアイスですか?」
「ええ、ヨーグルトなんかもアイスにするって言ってたわね」
ミルクアイスの美味しさはシンプルにして至高である。
村でもマテリアルハンドなどの協力でアイスなどを作れるようになった。
それもあり果物のアイスなんかは今は村の定番のおやつとなっている。
「ダークエルフは乳製品の加工品なんかもたくさん作ってるのよね」
「はい、チーズにヨーグルト、他にも何かと作ってますよ」
「どれも美味しいから助かってるわね」
「オルライト様に人気となれば、村の人達も美味しくいただいてくれますからね」
「やっぱり領主の私が広告塔になると効果があるのね」
オルライトが自ら広告塔になるとそれだけ効果がある。
オルライトが美味しいと言った食べ物は消費量が増える。
広告塔になるというのはそれだけ宣伝効果があるものなのか。
「でもダークエルフは酪農が得意っていうのもなんか意外ね」
「食肉のついででもありますからね、食肉の家畜を育てるついでですよ」
「そんなものなのね、ついでにしてはレベルが高いというか」
「とはいえこの村は土地も広いので、何かと出来るのは助かっていますよ」
「村も周囲の森なんかはかなり切り拓いたものね」
村の周囲の土地はかなりの開拓をした。
それもあり土地が広がり農地なども大きく広がった。
だからこそ酪農なんかも大規模で出来るようになったという事だ。
「ダークエルフって家畜と一緒に暮らしてきた種族とかなのかしら」
「そうですね、エルフが菜食主義な一方で、ダークエルフは肉食主義な種族ですから」
「似てるようで実は正反対な種族っていう事だものね」
「ええ、ですからダークエルフは昔から酪農や畜産が得意なんですよ」
「美味しいものをいただけるのも昔から積み重ねてきたものがあるからなのね」
ダークエルフもまたエルフと同じように長命な種族だ。
だからこそ技術の蓄積は出来てきたという事なのだろう。
美味しい乳製品や食肉はそうした積み重ねがあってこそだ。
「村の牛乳って高級な牛乳にも負けないぐらい美味しいのは凄いわよね」
「ダークエルフの酪農はそれだけ美味しいものを作っているんですよ」
「村の食材はどれも美味しくて、輸出先からも評判がいいのよね」
「とはいえ村の規模ではどんなに土地が広くても限界はありますしね」
「流石にここより広い農地を持ってる農家なんてたくさんいるものね」
他の領地や国に行けばもっと大きな農地を持っている農家もいる。
だからこそこの村の農地も出来る限り広げたいという事ではある。
工場などを建てて、事務所なども建てて、さらに農地も広げる、やる事が多いのだ。
「とはいえこの規模の土地があれば生産は相当進むのね」
「流石にもっと大きい土地を持っている相手には勝てませんけどね」
「でも大したものよ、やっぱり凄いと思うわ」
「オルライト様が土地などを広げてくれたおかげではありますよね」
「村の開拓が仕事だからこそよ、勉強もたくさんしたしね」
オルライトの努力は確実にあるものではある。
村の土地はかなり広がり、施設は多く建ち、農地なども広く広がった。
それだけ村の周囲には使える土地が広がっていたという事でもあるのか。
「夏は牛乳も痛みやすいから気をつけないといけないわね」
「冷やしておけばだいぶ痛むのは遅くなるのは、技術様々ですね」
「ええ、冷やして保存するというのはそれだけ効果が大きいという事よね」
オルライトは牛乳が好きであり、朝には必ず牛乳を飲む。
だからこそ女性にしては背が高い方になったのか。
朝に朝食と一緒に飲む冷やした牛乳は朝の目覚めの一杯である。
朝食には必ず牛乳、それがオルライトの毎日のお約束である。




