奇抜な少女
先日の地震の事もあり対応を考えていたオルライト。
そんな中村で働いていたエルフが一人の人を連れてくる。
観光客のようなものではなさそうな彼女。
とりあえず話だけでも聞いてみる事に。
「えっと、あなたはどちら様なのかしら」
「知らねぇよ、気がついたら森の中にいてスマホも繋がらねぇし」
「すまほ…?とりあえずもう少し詳細に聞かせてもらえるかしら」
オルライトが見る限り口は悪いが悪い人には見えない様子。
キスカも口が悪い時点で無礼だと睨みを利かせるが、とりあえずそれを制する。
「えっと、名前を聞いてもいいかしら」
「東風冬夕、それよりここはどこなんだ?」
「フユね、それで気がついたらここにいたっていう話だけど」
「なんかさっきまで街にいたはずなんだけどな、そしたらここにいた」
「どういう事?遠くからここに飛ばされたみたいな話?転移の魔法とかかしら」
冬夕が言うにはさっきまで街にいたらしい。
それが気がついたらここにいたとのこと。
要するに転移してきたと考えるのが妥当だろう。
「荷物とかを見ても特に危険はなさそうだけど、あなた変わったものを持っているのね」
「そうか?ここでは珍しいんだな」
「いろいろ聞きたいけど、まずは帰してあげなきゃならないわね」
「帰れるならいいんだけどよ」
「とりあえず相談に行くからついてきてくれるかしら」
帰してやるために相談としてダークエルフの人に相談に行く。
そこでいろいろ情報を聞いてその上でなんとかしてみる事に。
冬夕から話をしてもらうことにした。
「それで元の世界に帰れる魔法とかですか」
「ああ、なんとかなるんだろ」
「そうですね、なんとか出来るとは思います、そのスマホというのを貸していただけますか」
「スマホを?まあどうせこっちじゃネットも繋がらないし、別にいいけどよ」
「ありがとうございます、すぐには無理ですが、10日ぐらいお待ちくださいね」
話からしてスマホに転移の魔法を付与するようではある。
ただその解析などが必要との事で10日ぐらい待って欲しいとの事。
それまでは冬夕はこっちで面倒を見る事になった。
「それでお腹とか空いてない?」
「あー、そういや結局ハンバーガー食いそびれてたな、なんか食わせてくれよ」
「はんばーがー…?まあいいわ、何か希望とかあるかしら」
「肉、肉を食わせろ」
「お肉ね、なら作ってもらうから少し待ってて」
そのままキスカに適当に食事を作ってもらうことに。
好みについてはよく分からないが、肉が好きなのは確かな様子。
なので肉を使って何か作ってもらう事にした。
「お待たせ、ステーキぐらいしか作れなかったけど、これでよかったかしら」
「ステーキって、もっと簡単なもんでよかっただろ」
「ステーキは簡単な料理よ?焼き加減と味付けの加減ぐらいだもの」
「まあいいけどよ、とりあえずいただくわ」
「ええ、村で育ててる牛の肉だから味は問題ないはずよ」
村で育てていた牛の肉。
それは産業を作るのにいろいろ試行錯誤している中での味。
まあ食べる用はまた別にあるので、開発途中のものではない。
「どうかしら」
「うん、美味いんだけど、アタシからしたらステーキは食い慣れてないんだよな」
「ステーキってフユの世界だと高い料理とかなの?」
「ああ、ステーキは普通にお高い料理だな」
「ふーん、世界が変わるとそういう話も出てくるのね」
とりあえずステーキは綺麗に完食してくれた。
それからは転移の魔法の事が終わるまでは適当に過ごしてもらう事に。
村は好きに見て回っていいとオルライトは言ってくれた。
「ねえ、あなたの持ってるかばんとか着てる服とか見せてくれないかしら」
「は?アタシにそんな趣味はねぇぞ」
「違うわよ、服屋とかそういう人達が興味を持ったみたいなの」
「ああ、そういう事な、壊したりしなけりゃそれぐらいは好きにしていいぞ」
「ええ、まあ私自身も興味はあるんだけどね」
異世界から来たっぽい冬夕。
そんなこの上ない興味の対象を見逃すはずもなく。
持ち物一つ取ってもその興味は尽きないのだ。
「流石に壊したりはしないと思うけど、とりあえず不思議なものだしね」
「そっちから見たらそうなるんだな、まあ流石にだし着替えとかは貸してくれよ」
「ええ、とりあえず適当な服を見繕っておくわ」
冬夕が帰るまではこっちでもみくちゃにされそうな予感がする。
異世界から来たというような人を見逃してくれるほど優しくないのだろう。
つまり丁寧にもてなしてやるから覚悟しておけという事である。
美味しいものもたくさん食べさせてあげるという事なのだ。




