医者の大切さ
村の寒さも少しは落ち着いたものの冬は続いていく季節。
とはいえ春の足音は確実に聞こえ始めている。
そんな中移住者もまた少し増え、オルライトの目標には確実に近づいている。
そして移住者の中には今まで失念していた人もいたようで。
「あら?あなたは新しく移住してきた人かしら」
「これは領主様、お初にお目にかかります」
「ええ、よろしく頼むわね」
移住者の中に見つけた身なりのいい男性。
何をしている人なのかを聞いてみる事に。
「えっと、それであなたは何をしてる人なの?平民には見えないけど」
「医者をしていますね、王立の医学学校をきちんと卒業していますよ」
「へぇ、医者なんて凄いじゃない、でも王立を出てるのによく来てくれたわね」
「この村の話は聞いていたので、一度この目で見たいと思いまして」
「そういえばいろんな設備なんかは充実させたけど、医者がまだだったわね」
今までいろいろやってきたが、医者の存在を失念していた事に気づく。
一応村の医者は以前の領主の関係者から引き継いではいる。
とはいえ正式に村に病院を作り医者も確保しなくてはならないという事か。
「それで村で診療所でもやってくれるのかしら」
「ええ、そのつもりですが」
「村にも大きめの病院を建てるべきなのかしら」
「病院を建ててくれるのなら助かりますが、その時は知り合いも村に呼べますし」
「ふむ、だとしたら病院も必要になるわね、建てるのに使う人手って足りてたかしら」
先日学校の建設に着手したばかりであり大工の人員が気になるところ。
それなりに大きな病院を建てるとなると人員はそれなりに必要になる。
人員がいないと病院の建設にも時間がかかってしまう。
「でも医者が来てくれたのは助かるわ、今までは前の領主からの引き継ぎしかいなかったから」
「前の領主殿は持病の悪化でしたよね?それを診ていたのなら腕は確かでしょうし」
「そうなのよね、とはいえ医者の数はもう少し欲しいのよ」
「ならまずは小規模な診療所からになりますかね、人が必要なら伝で呼びますよ」
「あら、なら頼んでもいいかしら」
まずは小規模な診療所から始めるという医者の青年。
必要なら少しは人も呼べるという事。
病院の建設は新たに計画に組み込むとして、医者が来てくれるのはありがたいという事だ。
「この季節は風邪とかが増えるから、医者もそうだけど薬の知識がある人も欲しいのよね」
「薬の知識ですか、必要ならすぐにでも知り合いに手紙でも書きますよ」
「そうね、なら頼んでもいいかしら」
「分かりました、あと大きな病院はすぐには無理とはいえ診療所に使える建物を頼めますか」
「診療所に使える建物、なら小さな民家ぐらいの大きさでいいかしら」
診療所レベルならそこまで大きな建物ではなくていいとのこと。
とりあえず小さな民家なら空いているはずなので、そこを使っていいとの事である。
医者の青年はそこを使ってしばらくの間は診療所をしてくれるとのこと。
「とりあえずいろいろ助かるわ、ありがとう」
「いえ、僕としてもこの村には興味があるので、こちらこそ助かりますよ」
「医者の人員の確保、病院の建設は必要として、人がいてくれるのは嬉しいものね」
「それにこの村は今はとても発展しているので、新しく来る人達も生活には困らないかと」
「それもそうね、なんにせよ医者が来てくれただけでも嬉しいもの」
とりあえずは小さな診療所から始める事になる。
冬は風邪などの人も増えるので、今診療をしている前の領主の専属医も楽になるだろう。
前の領主からの引き継ぎは人なども含まれていたという事だ。
「王立の医学学校を卒業しているという事は、大体は出来ると見ていいのよね?」
「ええ、尤も僕は主に内科医なので、知識はあるものの外科手術とかは出来ませんよ」
「それでもいいわよ、そういう事はこれから呼んでくれる人を頼らせてもらうし」
「分かりました、ではまずは知り合いにも連絡を取ってみます」
「ええ、ぜひとも頼むわよ」
三年目の終わりも近づきつつある中での医者の確保。
それは村にも病院を建てるという計画にも繋がる。
医者の青年は実際に診療した経験などもある様子。
「そういえば実際に診療した経験とかはあるのよね?」
「ええ、研修も終えていますし、以前は王都の病院で働いていたので」
「なら頼もしさは問題なさそうね」
「とはいえそれでもまだ駆け出しですよ」
「それでも経験があるだけ助かるわ」
そんなわけで彼は小さな診療所から始めてくれるという。
そこから病院の建設は必要として建設にも繋がっていく。
村に病院が出来る意味は大きい。
「診療所をやるのに必要なものとかあったら遠慮なく言ってきてね」
「ええ、分かりました、ありがとうございます」
「医者が増えてくれるのは助かるわね」
そんな医者の青年が新たに移住してきたという嬉しい話。
伝を使ってもっと医者の人達を呼んでくれるという。
村にも医者が増えるのは嬉しい限りである。
王立の医学学校を卒業しているのなら腕も信頼出来そうだ。




