村のとうもろこし
冬が訪れ外もすっかり寒くなった。
そんな寒い日でも村の様子は見に行かないといけないもの。
とはいえやはり体を暖める料理は美味しいものだ。
オルライトも村の食堂で村人に混じって食事をしていたりする。
「フユの世界も今は冬なのかしら」
「以前帰った時は一時間ぐらいしか経ってなかったのに、時間の流れが変わったのかね」
「確か以前は十日こっちにいても、向こうは一時間ぐらいだったのよね?」
冬夕曰く最初に向こうに帰った時はこっちの十日が一時間ぐらいだった。
だが今はこっちも向こうも冬、時間の流れが変わったのかもしれないという。
「そういえば何か温まる料理とか教えてくれないかしら、出来れば汁物がいいわ」
「汁物ねぇ、ならコーンスープとかパンプキンスープでも作ればいいんじゃないか」
「コーンスープやパンプキンスープ、どっちも村で育ててるから出来るとは思うけど」
「そういや村で育ててるとうもろこしって、スイートコーンか?」
「だと思うけど、とうもろこしにも種類があるのかしら」
とうもろこしは主に四種類に分けられる。
家畜の餌になるのがデントコーンやフリントコーンである。
その一方で人間が主に食べているのはスイートコーンやポップコーンである。
「村のとうもろこしは甘い感じはしてるから、スイートコーンだとは思うけど」
「ならそれでスープを作ればいいと思う、まあデントコーンも食えなくはないけどな」
「デントコーンっていうのはとうもろこしの仲間なのよね?」
「ああ、主に家畜の餌にするのはデントコーンとフリントコーンらしい」
「ふーん、でも甘い味のするとうもろこしだから、たぶんスイートコーンよね」
村でエルフが育てているとうもろこしは恐らくスイートコーンだという。
そんな中ポップコーンはこの村では育てていない品種でもある。
ポップコーンはその名の通り、熱すると弾けるお菓子のポップコーンになるとうもろこしだ。
「ならとりあえず相談してみるわ、レシピを教えてくれるかしら」
「レシピは…大体こんな感じだな」
「ありがとう、村の食堂で試しにやってみるわ」
「そういえばポップコーンは育ててないのか?」
「ポップコーン?そういうとうもろこしもあるのかしら」
ポップコーンはその名前のままお菓子のポップコーンになるとうもろこしだ。
熱すると弾けて膨らむのがポップコーンの特徴だ。
ちなみにポップコーンは爆裂種と呼ばれるとうもろこしからしか作れないものでもある。
「ポップコーンってそもそもなんなの?」
「爆裂種っていうとうもろこしを乾燥させて作るお菓子だよ」
「お菓子なの?とうもろこしなのに?」
「爆裂種っていうとうもろこしをポップコーンって呼んでるだけだからな」
「なるほど、どうやって作るのかしら」
ポップコーンは爆裂種のとうもろこしをまずは乾燥させる。
乾燥した爆裂種を熱する事でそれが弾けてポップコーンになる。
塩やキャラメルが定番の味付けではある。
「ポップコーンってどんなお菓子なの?」
「とうもろこしを熱して弾けたやつだな、塩かキャラメルが定番の味だよ」
「爆裂種だけがポップコーンになるって事なのよね?」
「ああ、水分の量が関係してるらしくて、爆裂種しかそうならないんだと」
「なるほど、とうもろこしにもいろいろあるのは分かったわ」
村で育てているとうもろこしは恐らくスイートコーン。
それを使えばコーンスープも問題なく作れるだろう。
ちなみに冬夕の世界にはスーパースイートコーンなんてものもあるが。
「コーンスープなら問題なく作れそうね、まずはやってみなきゃ」
「アタシの世界にはスーパースイートコーンなんてものもあるけどな」
「スーパースイートコーン?スイートコーンよりもっと甘いって事なのかしら」
「だと思うぞ、実際めっちゃ甘いしな」
「スイートコーンの上にスーパースイートコーンがあるなんて凄いわね」
スーパースイートコーンは当然とても甘くて美味しいもの。
とうもろこしは元々甘めの穀物ではある。
スーパースイートコーンはそんなとうもろこしでも特に甘いという。
「とりあえずレシピはありがとうね」
「ああ、寒い時期は温かいコーンスープは癒やされるぜ」
「それとポップコーンが気になるんだけど」
「爆裂種を手に入れるとこからだな、それは」
「まあそうなるわよね、情報を探してみるわ」
とうもろこしは村でも育てているのでコーンスープは作れそうだ。
そんな村のとうもろこしは甘い味がしているとオルライトは言う。
スイートコーンでコーンスープを作るのも温かいスープが嬉しい季節だからこそだ。
「コーンスープ、楽しみだわ、甘いスープになりそう」
「スイートコーンだからな、甘いコーンスープは美味いぞ」
「冬だからこそ温かいスープは美味しいのよね」
そんなコーンスープの試作はその日の夕方から始まったという。
材料は特に問題なく揃ったようてあり、オルライトにも好評だった。
村の食堂にもスープはあるが、種類は思いの外少なかった。
コーンスープは村人たちにも好評になったそうな。




