美味しいかぼちゃ
すっかり秋本番に突入し寒風も吹き始めた村。
そんな中秋の作物などがたくさん収穫されている様子。
秋の作物を使った料理なども食堂で出回り始めている。
そこでオルライトの目を引いたものといえば。
「美味しそうなかぼちゃね」
「これはオルライト様、ええ、とても美味しいですよ」
「かぼちゃ、この季節のものは美味しいものね」
エルフの育てているかぼちゃは甘くて美味しい。
美味しい料理に仕上げてくれる村のおばちゃん達にも感謝だ。
「かぼちゃを使った美味しい料理、何があるかしら」
「定番のパンプキンポタージュやかぼちゃの炒め物なんかがいいのでは」
「定番のものは確かに美味しいんだけど、他にもこうなんというかね」
「ふむ、そういえば先日フユ殿がかぼちゃを使ったお菓子の話をしていましたよ」
「かぼちゃのお菓子?そんなものまであるのね」
先日冬夕がエルフのかぼちゃを見てかぼちゃのお菓子の話をしていたという。
かぼちゃを使ったケーキや、かぼちゃのクッキーなどいろいろ話していたようだ。
レシピは今度来た時に聞き出す事にした。
「でもかぼちゃのお菓子、フユの世界では野菜のお菓子って当たり前らしいのよね」
「野菜をお菓子にするというのは我々にはない発想ですよね」
「ええ、だからいろいろ試作してみるのも面白そうね」
「そういえばカボチャの種をローストして食べると美味しいと言っていましたよ」
「カボチャの種って食べられるの?そっちの方が初耳なんだけど」
冬夕はカボチャの種やヒマワリの種が結構好きなのだとか。
それを炒って食べるとなかなか美味しいらしい。
種を食べるという発想もまたないようではある。
「でもカボチャの種って食べられるものなのね、それが初耳よ」
「カボチャの種やヒマワリの種は結構美味しいらしいですよ」
「ふーん、ローストするだけでいいのよね?」
「はい、スナック感覚で食べられるとか」
「種を食べるなんて意外な話だわ、異世界って面白いわね」
かぼちゃは種まで食べられる。
そして料理の他にお菓子にもなるのが美味しさの理由らしい。
かぼちゃのお菓子はかぼちゃの甘さをより引き出せるとか。
「かぼちゃのお菓子も気になるし、料理にしても美味しそうだし」
「オルライト様って結構食い意地が張っていますよね」
「別にいいでしょう、美味しいものが好きなんだから」
「我々の作ったものを美味しそうに食べてくれるのは嬉しいですよ」
「まあエルフの作る野菜や果物が美味しいのは知ってるし」
オルライトはそうしたものを美味しく食べてくれる。
それは農業を得意とするエルフには嬉しい事のようだ。
美味しく食べてくれるというのはそういう事なのだろう。
「でもかぼちゃっていろんな食べ方があるのねぇ」
「かぼちゃはスープにすると美味しいんですよね」
「かぼちゃのスープ、この季節は美味しいわよね」
「料理も結構ありますからね、パンプキンパイとかも美味しいですし」
「パンプキンパイ、いいわね、昔食べたパンプキンパイは凄く美味しかったのを思い出すわ」
オルライトはパンプキンパイも好きな様子。
パンプキンパイは素朴な味という事なのかもしれない。
そんなパンプキンパイは村でも定番の食べ物になっている様子。
「でもかぼちゃの他にも秋は美味しいものがあって、誘惑が多くて困るわ」
「秋は美味しい食べ物が多いですからね」
「ええ、肉も魚も野菜も果物も秋は美味しいものが多いのよ」
「オルライト様はそれだけ食べてもそこまで太らないですよね」
「まあ体は動かしているもの」
オルライトはこれで結構体は動かしている方である。
なのでたくさん食べてもそこまで太らない。
発育はいいが太っているという事も特にない。
「でも体をきちんと動かしてもたくさん食べると体重は増えるのよね」
「この季節は消費するエネルギー以上に食べる事も多くなりがちですしね」
「ただ美味しいものの誘惑はやっぱり強いのよね、この季節は」
「オルライト様って意外と体重はある方じゃないですか?」
「そうね、太ってはいないけれど軽すぎるという事も特にないわ」
オルライトの体格は割としっかりしている。
とはいえそこは鍛えてもいるからこそである。
肉体的には鍛えられている方なのがオルライトなのだ。
「とりあえずかぼちゃの料理を何か食べたいわね、食堂に何か食べに行こうかしら」
「出荷する分も村で食べる分もたくさんありますからね」
「ええ、美味しいかぼちゃ、楽しみだわ」
そんなオルライトはこのあとかぼちゃをしっかりといただいた。
秋のかぼちゃはそれだけ美味しいものなのだとエルフは言う。
オルライトも秋は美味しいものの誘惑に連戦連敗である。
やはり美味しいものというのは誘惑が強いのだから。




