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包み込んだり挟んだり

すっかり秋の陽気になってきて一枚羽織るようになった季節。

そんな中村の新たな名物を何か考えているオルライト。

三年目もだいぶ経過したとはいえ出来る事はなんでもやっていく。

仕事が終わってからの事は考えずに突き進んでいく。


「何か名物に出来そうなものってないかしら」


「相変わらずいろいろ考えてるんだな」


「ええ、せっかくいろいろ作ってるから、それを使うのも大切だもの」


オルライトが考える名物になりそうなもの。


工芸品でもいいし食べ物でもいい、何かないかと冬夕に尋ねる。


「何かないものかしら、何かある?」


「また無茶振りするな、それなら新しいパンでも考えるか?」


「新しいパン?以前のハンバーガーとかそういうのとはまた別に?」


「ああ、小麦粉はたんまりあるんだろ」


「まああるわね、でも新しいパンってなんなのよ」


冬夕が言う新しいパンというのはどうやら惣菜パンの事らしい。

カレーの開発にも成功してるし、バニラなども今は確保出来る目処が立っている。


オルライトが輸入食材を領地で栽培出来るように研究も進めていた案件だ。


「新しいパン、これ以上何かあるの?」


「カレーパンとかクリームパンとかあんパンみたいなもんでも作ろうぜ」


「それってどんなパンなの?」


「主に包んだ系のパンだな、パンの中にカレーとかクリームとかが入ってるやつだよ」


「ふーん、そういうパンがフユの世界にはあるのね」


そういうパンは作ろうと思えば作れるものではある。

名物になるかはともかく、やってみる価値はあるとは思う。


簡単な作り方だけでも聞いておく事に。


「包み込むって事は生地にクリームとかを包んでから焼くのよね?」


「ああ、あとカレーパンは油で揚げた揚げパンだな」


「パンを油で揚げるの?それは不思議な作り方をするのね」


「アタシの世界には揚げパンっていうパンがあるんだよ、パンを油で揚げるんだ」


「揚げパン、それやってみましょうよ」


オルライトが食いついてきたのは揚げパン。

クリームパンなどにも興味はあるが、特に揚げパンに食いついてきた。


揚げパンは作り方は割と簡単ながら美味しいのだ。


「でも揚げパンってそのままだと味気なさそうね」


「揚げパンは砂糖とかきな粉をかけて食べる事が多いな」


「砂糖は分かるけど、きな粉って何かしら」


「きな粉っていうのは大豆の粉だよ、和菓子では定番の味だな」


「大豆の粉、それなら作れそうではあるわね」


きなこ揚げパンは定番の味の一つである。

きな粉はこの村でも作れそうという事もあり、やってみようとなった。


そんな新しいパンはいろいろあるようで。


「他に何かいいパンのアイディアとかないかしら」


「ならホットドッグとか焼きそばパン的なもんはどうだ?」


「ホットドッグ?焼きそばパン?」


「要するにパンにソーセージや焼きそばを挟んだパンの事だな」


「サンドイッチの仲間っていう事でいいのかしら」


ホットドッグや焼きそばパンはコッペパンにそれを挟むもの。

ソーセージは伝わるが、焼きそばはなんなのかと聞かれる。


異世界なので焼きそばは異国の料理になってくるのだ。


「パンにヴルストを挟むのがホットドッグなの?」


「ああ、こういう感じの縦長のパンを真ん中から割ってそこに挟むんだ」


「ふーん、割と手軽で食べやすそうではあるわね」


「食べ歩きには最適なパンではあるからな」


「そういうパンなのね、なるほど」


ホットドッグは手軽さが売りのパンではある。

とはいえケチャップやマスタードが用意出来るかと言えば、まあ作る事になる。


ただ作ろうと思えば作れるとオルライトは言う。


「ケチャップとかマスタードっていうソースは材料が分かればたぶん作れるわね」


「ならやってみるか?」


「時間は少しかかりそうだけどね、何事も挑戦よ」


「ならやってみればいいさ、もし出来たら宣伝もしないとならないだろ」


「ええ、パンと一緒に村の産業にもなりそうだし」


オルライトが考えるのは、ケチャップやマスタードも村の名産に出来そうということ。

パン作りの過程でそういうものも考えているのはオルライトらしさか。


必要なものはなんでも使っていくのがオルライトの考えだ。


「そういえば焼きそばってなんなの?」


「中華麺を焼いてソースで味付けしたもんだな、ソースっていうのはウスターソース的なもんか」


「ウスターソース?それは料理にかけて食べるソースなのよね?」


「ああ、香辛料と野菜とか果物とかいろいろ使って作るソースの事だな」


「難しいわね、でも作り方が分かればやれるかも」


そうしたものはもう少し詳細が分からないと難しいとは言う。

とはいえ詳細が分かれば出来るという事なのか。


何事もやってみる事が大切である。


「とりあえず出来そうなものからやってみるわね」


「ああ、まあ難しいもんは無理にする事もないしな」


「揚げパン、油で揚げたパン、なるほど」


冬夕の世界には美味しいパンはたくさんある。

それは食が豊かな国だから生まれたものも多い。


オルライトは揚げパンに食いついたようで、特に興味を示していた。


オルライトの味覚は貴族的な食事から平民の食事までなんでも受け入れるようである。

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