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多神教と一神教

秋本番となり気温はだいぶ涼しくなってきた。

そんな中でも村の生産活動は大きくなっていく。

オルライトも出来る事はなんでもやっていくという覚悟でやっているからこそ。

村の人達も様々な者達がいるからこそ、それをまとめる必要もある。


「教会の方は相変わらずみたいですね」


「これはオルライト様、ええ、施設があるだけで助かるぐらいですよ」


「それにしても神様を信じるというのも難しいものね」


オルライトも神を信じていないわけではない。


とはいえ基本的には神様が救ってくれるという考えも持たないようではある。


「でも敬虔な信徒っているものなのね」


「そういえば異世界から来ているという女の子の宗教観は面白いですね」


「フユの事かしら?確かに彼女は祈るようには見えないけど」


「彼女の暮らしている国では神様はたくさんいるという考え方なのだそうですよ」


「神様がたくさんいる、そういう宗教もあるって事なのかしら」


冬夕の暮らす日本は基本的には多神教である。

国民は無宗教だと思う人も多いが、実際は日常にそれが溶け込んでいる。


生活レベルで神道の教えが浸透しているのである。


「異世界の話とはいえ、神父様は神様が複数いるっていうのはどう思うのかしら」


「そうですね、宗教観というのは国や世界が変われば変わるもの、そうでしょう」


「あら、意外とそういうのは受け入れられるのね」


「とはいえ異教徒というのは基本的に考え方が違うのは普通ですよ」


「でもここの神様は一人っていう教えよね」


神様は一人か複数かという宗教観。

今来ているこの教会では神様は一人という一神教である。


とはいえ神父様は神様というのは異国や異世界に行けば考えも変わるものと思っているようだ。


「実際神様が複数いるってどんな感じなのかしら」


「彼女が言うには八百万の神々という考えがあるそうですよ」


「八百万の神々、神様がたくさんいるっていう考えはそういうところにも出るのね」


「一粒の米にも七人の神が宿る、そんな考え方があるそうですから」


「神様への考え方が根底から違うのね」


多神教の信徒というのはこの国では異国の民ぐらいだ。

とはいえ異なる宗教も基本的には異国のものとして受け入れられはする。


他国と自分達が違うというのはこの国では割と一般的な考えだ。


「でも神様がたくさんいるってなると、宗教的な活動とかはどうなるのかしら」


「そこはなんとも言えませんが、日常レベルでそれが浸透しているそうですよ」


「つまり無意識のうちにその教えを実践してしまうみたいな感じかしら」


「そうらしいとは聞きました、なので教えを説くまでもなく体に染み付いているとか」


「それはそれで凄い話ね、伝わるとか教わるとかもなく体に染み付いてるなんて」


日本人が無宗教だと思っている理由がそこにある。

日常レベルでそれが浸透し染み付いているので特に宗教に入っていると思わない。


冬夕もそんな感じであり、特に何かしなくても自然と体が動く感じだとか。


「フユって神様への考え方がまさに異世界の人って感じなのねぇ」


「ただ神様の教えが教わる事すらなく染み付いているのは凄い話ですよ」


「実際そこまで教えが浸透しているというのは、どうしたらそうなるのかしら」


「それは恐らく相当の歴史があるからではないかと思われますよ」


「歴史があるから、子供ですらその教えが生まれながらに染み付いているみたいな感じなのね」


神様はたくさんいる、外国の神様もそんなたくさんいる神様の一人と考える。

なので一神教の神も多神教にとってはそんな中の一人でしかない。


宗教観というのは国家であり歴史なのである。


「神父様はその辺は寛容なのが意外だったわね」


「この世界ならともかく、異世界の宗教まで否定する事は出来ませんしね」


「でも神様がたくさんいるっていう考えは興味深いわ」


「教えが日常レベルで浸透しているというのもまた凄い話ですからね」


「人助けは慈善活動ではなく自然と体が動くみたいな話なのね」


神父様もまた冬夕の宗教観には興味を示している。

それは異世界人だからこそ異教徒として邪険にも出来ないからということか。


とはいえ神様が人々をどう見ているかという考え方は違う様子。


「神様への考え方が一神教と多神教では根本から違うのね」


「彼女曰くお天道様は常に見ているという事らしいので」


「だから悪い事も出来ないみたいな話なのね」


「ええ、神様は常にどこかから見ている、人の目を気にする宗教観みたいですよ」


「神様が常に見ているという考え方がまた宗教観なのねぇ」


それも含めての神道の考えである。

人の目が常にあるという事を意識する。


それは悪事を躊躇わせる事にも繋がっている。


「とりあえず宗教的なトラブルは起きていないみたいで安心したわ」


「他人の信仰にまで足を踏み入れないのもまた大切ですから」


「それじゃ何か要望とかがあれば、いつでも言ってきてね」


そんな宗教観の面白さ。

異世界の宗教はまたこの世界にはない考え方がある。


教えとはどのようにあるべきか。


異世界とは全てが異なる世界でもある。

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