軽い金属
秋に突入し少しずつ涼しくなっていく季節の変わり目。
そんな中ドワーフ達が新しく発掘されたという金属を試しに使っているという。
その金属は冬夕の世界では一般的だが、こちらでは新発見となるもの。
その金属は軽い事で知られている金属らしい。
「また何か新しいものを作っているの?」
「これはオルライト様、ええ、新しく発掘されたっていう金属なんですよ」
「新しく発掘された金属?そんなものまで卸してもらえているのね」
その金属は冬夕の世界で言うアルミニウムである。
こっちの世界では新発見なのだとか。
「この金属はなんていう名前なの?」
「アルミニウムっていうらしい、フユの嬢ちゃんが言うにはな」
「へぇ、フユの世界ではそう呼ばれてる金属なのね」
「それがたくさん掘れたとかで、俺達に試しに使ってみないかと言われてな」
「それでいろいろやってみてるって事なのね」
ドワーフ曰くそのアルミニウムは軽くて使いやすいという。
ただそこまで頑丈ではないともいう。
武具などには向かないが、日常で使うものなどには使い道も多そうなのだと。
「それで何か作れそうなのかしら」
「試しに缶を作ってみた、持ってみるといい」
「…凄く軽いわね、金属なのにこんなに軽いのね」
「ああ、ついでに熱にもそれなりに強いからな」
「つまり熱を加えても簡単には変形したりもしないのね」
アルミというのは熱伝導率もよく、思っている以上に軽いものである。
なので日常で使う日常品などに使うのがベターな選択肢か。
ドワーフもそういうものを作ろうと考えているらしい。
「アルミって金属なのにこんなに軽いのね、驚いたわ」
「こいつを使えばいろいろ作れそうだ、腕が鳴るな」
「コップとか、タンブラーとかそういうのを作ったら面白くなりそうね」
「いいねぇ、なんなら名産品として売り出してみるか?」
「あら、いいわね、軽くて丈夫な金属で作られたコップとか面白そう」
アルミ製品を名産品にしたら面白いかもとドワーフは言う。
オルライトもそれもいいかもと意外と乗り気である。
アルミには無限の可能性を見出しているようである。
「アルミって熱は通るけど、そこまで頑丈というわけではないのよね?」
「ああ、武具なんかにするには向かないが、鍋とかにはよさそうだぜ」
「アルミ鍋、鍋とかタンブラーとかまさに日常品には最適なのね」
「まあ量産出来るようになるには少しかかりそうだけどな」
「それでもやってみる価値はあると思うわよ」
まずは何事も挑戦からという事である。
ドワーフもアルミを使った調理器具には可能性を見出している様子。
また金属製の容器などにも使えそうだという。
「アルミニウムっていろいろ便利なのね、金属の世界も広いわ」
「耐久度的にも衝撃が加わるものに使うのには向かないけどな」
「でも熱はよく通るのよね?だから鍋とかなんでしょ」
「ああ、それも使い捨て製品に向いてると思うぜ」
「使い捨て、一度使ってから廃棄する道具という事よね」
実際冬夕の世界でもアルミ鍋は使い捨てとして使われる事が多い。
よく見る鍋焼きうどんなどのあの鍋がそれである。
なのでアルミ鍋とは使い捨ての鍋というイメージが強いものだ。
「でも使い捨て鍋なんてよく考えつくわね」
「これもフユの嬢ちゃんの受け売りだけどな、あの子の世界にあるアルミ鍋は使い捨てらしい」
「へぇ、だからアルミ鍋は使い捨てなのね」
「ああ、その鍋に食材を入れて火にかけて温めて食う食べ物なんかもあるらしいぜ」
「フユの世界って本当に私達の世界とは違うものがたくさんあるのね」
そんな事もありアルミ鍋は使い捨てとして売り出す事になりそうだ。
そういう使い捨てというのはこの世界ではそこまで浸透はしていないもの。
特に調理器具となるとなおさら珍しくなるのだろう。
「でもアルミは軽くて頑丈な金属だから、日常で使うには向いてるって事みたいね」
「強度のテストとかもやってみたからな、武具にしたら役に立たないのも確かだ」
「日常で使うもの、調理器具とか食器、そこら辺が主な使い道になりそうね」
「アルミ製の皿とかも便利そうでいいと思うしな」
「まずは鉱石の安定供給、そこから加工していくって事になりそうね」
アルミ製のものは衝撃が加わるものには向かない。
とはいえ普段遣いするのならそれは便利なものがたくさん作れそうだ。
ドワーフも強度のテストなどはすでにやってみているという。
「面白い話ありがとうね、こっちもいろいろ計画を立ててみるわ」
「おう、頼むぜ」
「これは面白くなりそうだわ、うふふ」
そんなアルミという新発見された金属。
ドワーフ達もそれで何かが作れないか考える。
オルライトはそれで何か出来ないかと計画を立てる。
アルミの可能性をこれから模索していく事になりそうだ。




