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南国の果物

夏本番になったようですっかり暑くなってきた村の気候。

そんな中海賊の一人が行商から面白いものを買ったらしい。

オルライトに相談に来た彼女が見せたものは故郷のものなのだという。

その故郷のものをなんとか使えないかと思ったらしい。


「これってあなたの故郷のものでいいのよね」


「はい、南国の果物とそれの苗木ですね」


「南国の果物、それとその苗木、行商なんかも増えたものね」


海賊の一人が持ってきたそれは南国の果物とそれの苗木らしい。


行商から買ったらしいが、栽培とかは出来ないかと相談に来たようである。


「南国の果物ってこの村でも育つものなのかしら」


「南国の果物は南国の環境に近くないと育たないとは聞きますから、どうなんでしょう」


「うーん、その辺はエルフの魔法でなんとかならないものなのかしら」


「そこはなんともですけど、温室でも作らないとその辺は難しいのかも」


「温室ねぇ、つまり気温を南国のそれに近づけないと駄目なのかしら」


南国の果物は普通に育てても上手く育つのは難しいという。

そこはエルフの魔法などでなんとかならないかとオルライトは考える。


もし上手く行けば村の新たな産業になる可能性があるからだ。


「南国って基本的には温暖な気候の土地でいいのよね?」


「はい、冬でも結構暖かくて、夏でも暑すぎない程度の気温です」


「なるほど、それぐらいの気温を保ち続けないといけないのね」


「あとあと南国は大雨や嵐なども夏には多いので」


「そういう環境をなんとかしないといけないって事なのね」


海賊の子曰く南国の気候は比較的穏やかで、冬でも結構暖かいという。

なので南国の果物の栽培にはまずは気温を保つ事が出来なければ始まらない。


ちなみにその南国の果物はどうやらパイナップルのようだ。


「この果物はなんていうものなの」


「パイナップルっていうやつです、食べてみます?」


「いいの?ならせっかくだしいただいてみましょうか」


「なら私が向いてあげますよ、果物ナイフを借りますね」


「ええ、お願いね」


厨房から果物ナイフを持ってきてパイなナップルを手際よく剥いてくれた。

輪切りになったパイナップルからは甘い蜜の匂いがする。


今はちょうど夏という事もあり、パイナップルが美味しい季節だ。


「うん、美味しいわね、少し酸っぱいけどそれがまた美味しいわ」


「南国の果物は太陽の日差しをたっぷりと浴びて育つから、とても甘く育つんですよ」


「へぇ、南国特有の環境がそういう味に育つのね」


「だから南国の果物っていうのは貿易なんかでもよく取り扱われるんです」


「行商人から買ったっていうぐらいだし、そういう繋がりのある人がいるのかしら」


行商人の中にはたまに珍しいものを扱う人がいる。

この村も今ではかなり発展したので、それを嗅ぎつけたのだろうか。


村の人達にもぼったくり価格で何かを売ったという話は聞かないようだ。


「でもパイナップルは美味しいわね、これが育てられるようになれば面白そう」


「この苗木は村で育てられるとしたらまずは温室作りからになるとは思いますよ」


「まずはそこからなのねぇ、温室作りなんて知識のある人はいるのかしら」


「私は多少は分かりますよ、まあ実際に建てるのは大工とかそういう人になるとは思いますが」


「あとは温室の中の気温を一定に保つための方法、エルフの魔法とか魔法の道具とか」


温室の建物自体は海賊の子が説明した上で大工などに頼めば建てられるだろう。

問題は温室の中の気温を一定に保つ事をどうするかである。


エルフの魔法や魔法の道具を設置して気温を保つのが最適解になるのかもしれない。


「とりあえずこの苗木についてはエルフ達のところに持ち込んで相談させてもらうわね」


「はい、もし上手く行ったらいろいろ考えましょうね」


「でも行商人が珍しいものを売りに来る辺り、村の外にも私の話が伝わってるのかしら」


「どうなんでしょうね、村の人達も興味津々に見てましたし」


「私にも直接来た事もあったし、行商人の繋がりは侮れそうにないわね」


行商人はどこからその話を聞きつけたのか。

尤も村にまでわざわざ来るというのは、売れるという確信でもあるのか。


なんにせよ使えそうなものであれば全然いいのだが。


「とりあえず苗木については任せておいてね」


「はい、お願いしますね、きっと上手くいくとは思いますし」


「ただ残りの時間的に、どこまでやれるかは未知数だけどね」


「今は三年目でしたっけ、来年はまだ時間はありそうですし」


「ええ、でも出来る限りはやってみるわね」


オルライトも約束は守るタイプの性格だ。

だからこそ出来る事は全てやる事にしている。


それがオルライトの信条だからだ。


「でもパイナップルって美味しいわね」


「南国の日差しをたっぷり浴びたんでしょうね、きっと」


「南国の環境がこんな美味しくするとか凄いわ」


そんなわけでパイナップルの苗木をなんとかしてみる事に。

温室を作り温室の中の気温を一定に保つ事。


それが南国の果物を育てるのにまずやらねばいけない事となる。


上手く行くかは今は分からないのだ。

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