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村外れの枯れ木

すっかり夏の気候になり外も暑くなってきた様子。

そんな中村の巡回中に村外れで大きな枯れ木を見つけた。

ここにあったのに気がつかなかった事は不思議に思いつつも少し調べてみる。

その枯れ木はなんの木なのか。


「この木なんだけど、なんの木か分かるかしら」


「この枯れ木ですか、ふむ…」


「これだけ大きな木だと割と長くここにあったと思うんだけど」


エルフの人を連れてきて枯れ木について調べてみる。


エルフは植物の知識も豊富なので何か分かるかもしれない。


「なんの木か分かったかしら」


「この木はたぶん桜の木だと思いますよ」


「桜の木?それって東にある国に咲いてるっていう木の事かしら?」


「はい、東にある島国では春になると満開になると聞きますよ」


「へぇ、でもなんでこの村に桜の木が植えられてるのかしら」


枯れ木とはいえここになぜ桜の木があるのか。

誰かがこの村にこの木を寄贈したのだろうか。


それについてはあとで調べるとしつつも、木をなんとか出来ないかと考える。


「この木は今からでも蘇らせられたりするのかしら」


「そうですね、根が死んでいなければ恐らくはなんとかなると思いますよ」


「なら地質調査の人達と一緒に調べてもらえるかしら」


「構いませんよ、土が汚染されていたりでもしなければ特に問題なく再生させられるかと」


「なるほど、なら話は通しておくからお願いね」


エルフの人曰く木は意外と生命力が強く簡単に朽ち果てたりする事はないという。

土が汚染されていたり、木の内側が腐っていなければ特に問題はないんだそう。


とはいえ仮に再生が出来るようになった時にはどうすればいいのだろうか。


「そういえば再生させる事が出来るとしても、何が必要になるのかしら」


「まずは土に栄養がないと話になりませんね」


「だとしたら植物用の栄養剤かしら?そういうのって作れたりするの?」


「作れると思いますよ、薬に詳しい人の協力があればですけど」


「薬に詳しい人の協力、ならそっちにも話は通しておくわ」


木を再生させるのに必要なものは栄養がまず第一。

その辺は薬に詳しい人とエルフの協力でなんとか出来そうとのこと。


なのでその辺はなんとでもなるようである。


「でも植物用の栄養剤ね、エルフは本来はそういうのは使わないものなの?」


「本来は使いませんが、植物に必要な栄養素なんかは熟知していますから」


「それを薬にする事ぐらいは出来るっていう事なのね」


「はい、説明も恐らく分かっていただけると思いますが」


「ならそっちは心配はないかしらね」


植物用栄養剤と豊かな土、あとは日光や水が大切。

土などについては地質調査の人達と一緒に調べてもらう事から始まる。


あとは木がどの程度の時間で復活するかでもある。


「でもなんでここに桜の木が…過去に誰かが寄贈したとかなのかしら」


「その可能性はありますね、だからここにあるのかと思いますし」


「でも枯れ木になってるって事は手入れはされてなかったって事なのよね」


「ええ、ただ手入れがされていなかったから枯れたのだと思いますから」


「でもなんでここにあったのかしら、村外れだから人が来なくなったとかかしら」


村外れという事もあり人はあまり来ない場所ではある。

なので人知れず忘れられていったのかもしれないという事か。


その結果枯れていってしまったという事なのかもしれない。


「とりあえず木の復活は出来そうで安心したわね」


「木というのは想像以上に生命力が強いですから、簡単に朽ち果てたりはしませんよ」


「そんなに強いものなのね、植物って凄いわ」


「実際世の中には長寿のエルフと同じぐらい生きている木があったりしますからね」


「それってつまり600年とか、800年とかそれぐらい生きてるって事よね」


世の中にはそれぐらい生きている木があるのだという。

だからこそ植物は強いという事なのだろう。


長寿のエルフと同じぐらい生きている木というのはなかなかに想像しがたいものである。


「でもとりあえずは安心かしらね」


「はい、早ければ来年の春には満開の桜を咲かせられるかと」


「そんなに早く行けるのね、なら期待していいのかしら」


「はい、期待していただいていいですよ」


「なら期待させてもらうわ、満開の桜、楽しみだわ」


とりあえずすぐにでも準備は始められるとのこと。

なので早ければ来年の春、四年目の始まりの時期には満開に出来るそうな。


エルフの頼もしさを感じる限りだ。


「満開の桜、楽しみだわ」


「桜は散るのも早いので、そこはお忘れなく」


「ええ、覚えておくわ」


桜の花というのは美しくも儚いもの。

満開の期間は短く、すぐに散ってしまう。


その儚さこそが桜の美であると言えるのかもしれない。


早速復活に取りかかる事となった。

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