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あれからの話

夏の暑さも強くなり始め涼を取る手段なども村では始まってきた。

そんな中以前冬夕の世界に行ってからそれについても少し調べている様子。

冬夕がこっちに来た時、オルライトが向こうに行った時。

その共通点は直前に大きめの地震があった事だとは感じていた。


「うーん、この伝承の樹ってやっぱり何かあるのかしら」


「あら、こんなところで仕事はいいのかしら」


「あっ、ファリム、よくここが分かったわね」


伝承の樹の麓で何か考えていたところにファリムがやってくる。


ファリムは長く村を見てきたので、何か知っているかもしれない。


「ねえ、この樹に何か特別な力があるとか聞いた事はないかしら」


「この樹に?うーん、ずっと昔からあるとは聞いてるけどそこまでは聞かないわね」


「だとしたらこの樹に関係する伝承とかもう少し詳しく知らないかしら」


「この樹は扉の役割を持っている、という噂は昔からあるのよ、今は廃れた噂だけど」


「扉の役割?つまりこの樹を通して別の世界に行けるとかそういう事?」


ファリム曰くこの樹は扉の役割を持っているという噂が昔からあるという。

尤も現代では廃れてしまった噂であり、知っている人も一部しかいないというが。


だがもしそれが本当なら、冬夕とオルライトが双方の世界に迷い込んだのも納得がいく。


「その扉って任意で開けたりするものなのかしら」


「たぶん無理だと思うわ、ただ扉はいつ開くか分からないという話はあったわね」


「つまり一度開いてからは、突然開く事もあるって事かしら」


「そんな感じね、だから任意に世界を移動する事は恐らく出来ないわよ」


「なるほど、でも世界がつながる理由とかってあるのかしら?直前に何かがあったとか」


ファリム曰く扉が開くのには前触れはあるという。

ただ扉がどこに開くかまでは分からないのだとか。


なので村から遠くに開く事もあるし、村の近くに開く事もあるらしい。


「でもそう考えると、ランダム転移とはいえ転移魔法を組み込んだエルフは凄いわね」


「実際エルフやドワーフなんかは異世界からの移住者とも言われているのよ」


「そうなの?だとしたらエルフやドワーフなんかも扉から来たのかしら」


「恐らく扉を操る技術は持っているんだと思うわよ」


「なるほど、でも扉に関してはやっぱり気になるものなのよね」


扉に関しては任意で開く事は出来ないとの話。

その一方でエルフやドワーフなんかは異世界からの移住者という話。


つまり彼らや彼女らは扉を操る技術を持っているという事なのか。


「でも実際フユも私も双方の世界に迷い込んでるし、扉は開いているのよね」


「そうね、ただ扉が開いたのは偶然なのかどうかはあると思うわ」


「樹が自分から扉を開くってなるとそれはそれで不思議な話になるわよね」


「あたしもそこまでは分からないけど、扉が人を選んでる可能性はあるわよ」


「確かに前の領主様の時とか、その前の何代もの領主様の時にそういう話は聞かないわね」


つまり扉、樹が人を選んでいるという事になるのか。

実際それまでの領主の時代にその手の話は聞かないというのもある。


つまりオルライトが村に来たから樹が扉を開いた、という事になるのか。


「よく分からないわね、まさか樹が私を選んだっていうのかしら」


「その可能性はあるんじゃないかしら、樹に選ばれたからこそ扉が開いたと」


「フユがこっちに迷い込んだのも、私が向こうに迷い込んだのもつまりそういう事なの?」


「この樹はずっと昔からあるんだもの、何か特別な力があったとしても不思議じゃないわ」


「特別な力、樹が人を選ぶようなそんなまるで意思があるかのような話ね」


ファリムも多少は知っているものの、詳細までは知らない。

だが樹についての噂は知っているようではある。


この樹は扉の役割を持っている、それが本当なら納得でもあるからだ。


「扉、それが本当なら世界を飛び越えたのも納得ではあるのよね」


「尤もそれは噂でしかないわ、それも廃れてしまった噂でしかね」


「なぜ私の時に扉が開いたのか、それは分からないけど」


「ただそのおかげでいい出会いは出来たんじゃないかしら」


「そうね、フユと出会って知らない事をたくさん知れたもの」


扉については謎のままではある。

ただ樹がオルライトを選んだ、というのはあるのかもしれない。


噂は本当だったという事なのだろうか。


「とりあえず話が聞けてよかったわ」


「大した話はしてないけどね」


「それじゃ私は仕事に戻るから」


伝承の樹の噂、それは扉の役割という事。

そしてなぜオルライトの時にその扉が開いたのか。


樹がオルライトを選んだという事なのだろうか。


謎は解決したようで深まったようで分からないものだが、樹の歴史はそんなものなのかもしれない。

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