成長した番犬
村の守りもすっかり固くなり、村の中での揉め事も減ってきた様子。
とはいえ村の周囲にはまだ賊がいるのもまた事実。
そんな中で雇ったブリーダーによって番犬達の教育も進む。
番犬の存在は不審者を早くに見つけるのに大いに役に立つ。
「番犬も大きくなったわね」
「はい、犬は育つのも早いですから」
「この子達も村の警備に役に立ってくれるならいいものよね」
番犬はブリーダーの手によって村の警備を叩き込まれている。
犬はその強い忠誠心があるからこそ番犬足り得るのである。
「それにしても大型犬は見ていて立派だと感じるわね」
「番犬は基本的には大型犬ですからね、小型犬は愛玩動物になる事が多いので」
「実際貴族の家で飼ってる犬ってほとんどは大型犬なのよね、番犬としての役割もあるから」
「そうですね、貴族は資産などもあるのでそれを守るために犬を飼うのは多いですよ」
「貴族で猫を飼ってる人はあまり見た事がないのも、そういう理由なのかしらね」
オルライトに限らず貴族というのは犬を飼う人が圧倒的に多い。
それは自分の家族や資産を守るために犬を選ぶという理由がほとんどだ。
オルライト曰く貴族の多くは犬派猫派とかではなく明確な理由があって犬を飼うのだとも。
「貴族の人でも猫の方が好きだけど、犬を飼う人は普通にたくさんいるものね」
「猫は自由な生き物ですから、番人としては向いていないですからね」
「他の貴族の家を訪問した事は何度かあるけど、大体は大型犬がいたのは覚えてるし」
「やはり犬というのはその嗅覚の存在が大きいんですよね」
「ターミナルなんかでも探知犬として犬が配属されてたりするぐらいだものね」
犬の武器はその優秀な嗅覚にある。
この世界でも麻薬探知犬のような役割を担っている犬は存在する。
犬というのは優秀な番犬としてその役割を期待されるのだ。
「それにしても村の方も犬が来てからは治安も少しは変わったのかしらね」
「エルネストさんが言ってましたけど、軍用犬なんかはそれこそ敵を捕らえる強さがいるので」
「不審な人には勇猛に向かっていって噛みつくみたいな話ね」
「だからこそしっかりと吠えるように教育するのもまた大切なんですよね」
「吠えなかったら番犬としては失格という事なのよね」
番犬はその相手の存在を飼い主や警備の人間に知らせる役割もまた大切になる。
だからこそ番犬はしっかりと吠えなければいけない。
まずは番犬はそうした不審な相手に対して向かっていくように教育するのだと。
「でも番犬はこれからは増えていくのよね」
「ええ、増やすための犬も連れてきているので」
「メインは村の警備にはなるけど、村の規模を考えるともう少し増えるべきという事よね」
「はい、それと番犬としての教育もしていかないといけませんからね」
「犬にもいろいろ覚えさせるのは大変な話よねぇ」
犬の教育をするのもまたブリーダーの仕事である。
ちなみに番犬であるため、ブリーダーの他にエルネストも協力している。
そうした様々な側面からの協力関係も村の中で構築されているようだ。
「貴族は多くは犬を飼ってるけど、やっぱりブリーダーから買ったりしてるのかしら」
「そうですね、私達のところにも貴族のお客様は多く来ましたよ」
「それである程度の教育とかもしてくれるってわけね」
「はい、貴族にとって番犬は家族でもあるという人は多いですから」
「番犬もまた家族、守ってくれるだけでも凄いのにね」
ちなみにオルライトは犬派らしい。
やはりしっかりという事を聞いてくれるのが大きいのだとか。
またオルライトが犬派な理由は犬の方がかっこよく見えるからともいう。
「大型犬はそれだけから見たら大きく見えるものなのよね」
「ええ、実際より大きく見えて相手に恐怖を与えるというのはありますよ」
「大型犬はその威圧感もまた大切という事なのよね」
「そうですね、相手の戦意を喪失させたり怖がらせられるというのもまた大切ですから」
「番犬はとにかく相手を威嚇して戦意喪失させられる事が求められてくるって事なのね」
番犬の役割とは相手を牽制する事にもある。
それで相手が逃げていけばそれが一番いい。
あくまでも相手を諦めさせるという事が大切なのだとも。
「この番犬達も村のためにしっかりと働いてもらわないとね、期待してるわよ」
「はい、教育なども含めてお任せくださいね」
「やっぱり大型犬は迫力が違うものよねぇ」
そんな番犬の教育もまたブリーダーの仕事であり役目だ。
エルネストも教育に噛んでいるので、これから増える番犬もその強さを発揮するだろう。
貴族はなぜ犬を飼うのか、その理由は番犬という理由があるからこそだ。
警備の人間と番犬の組み合わせは守るという事に関してはとても大きな意味を持つ。




